- 著者
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李 讃熙
朴 喜寅
- 出版者
- The Society of Resource Geology
- 雑誌
- 資源地質 (ISSN:09182454)
- 巻号頁・発行日
- vol.45, no.253, pp.323-329, 1995
韓国,太白山鉱化帯北部に位置する屯田金鉱山には数種類のPb-Bi-Sb-S系鉱物(Sbコサライト,Sbヘイロフスキーアイト,Sbリリアナイト,Bi車骨鉱,(未詳Pb-Bi-Sb-S鉱物)が産出する.これらPb-Bi-Sb-S系鉱物は方鉛鉱,車骨鉱,四面銅鉱,黄鉄鉱,黄銅鉱,閃亜鉛鉱,エレクトラムなどからなる方鉛鉱に富む鉱石に比較的多量に産出する傾向がある.Sbコサライトの平均元素組成はPb;44.1,Bi;30.7,Sb;5.7,Ag;1.6,Cu;0.6,S;16.7重量%で,硫黄原子数5とした時の化学式はPb<SUB>2.08</SUB>(Bi<SUB>1.41</SUB>Sb<SUB>0.47</SUB>)<SUB>1.88</SUB>(Ag<SUB>0.15</SUB>Cu<SUB>0.15</SUB>)<SUB>0.27</SUB>S<SUB>5</SUB>で与えられる.Biブーランジェライトの平均元素組成はPb;55.5,Bi;6.5,Sb:19.3とS;18.2重量%で硫黄原子数11とした時の化学式はPb<SUB>5.18</SUB>(Bi<SUB>0.60</SUB>Sb<SUB>3.10</SUB>)<SUB>3.7</SUB>S<SUB>11</SUB>で与えられる.Sbリリアナイト,Sbヘイロフスキーアイト,未詳Pb-Bi-Sb-S鉱物の化学組成は,硫黄原子数を6,9,5とした場合,それぞれPb2.94(Ag<SUB>0.14</SUB>Cu<SUB>0.15</SUB>)<SUB>0.3</SUB>(Bi<SUB>1.54</SUB>Sb<SUB>0.40</SUB>)<SUB>1.94</SUB>S<SUB>6</SUB>, Pb<SUB>5.84</SUB>(Ag<SUB>0.15</SUB>Cu<SUB>0.15</SUB>)<SUB>0.3</SUB>(Bi<SUB>1.52</SUB>Sb<SUB>0.38</SUB>)<SUB>1.9</SUB>S<SUB>9</SUB> and Pb<SUB>2.12</SUB>(Ag<SUB>0.08</SUB>Cu<SUB>0.25</SUB>)<SUB>0.34</SUB>(Bi<SUB>0.76</SUB>Sb<SUB>0.93</SUB>)<SUB>1.69</SUB>Fe<SUB>0.23</SUB>S<SUB>5</SUB>である.Sbコサライト,未詳Pb-Bi-Sb-S鉱物およびBiブーランジェライトの化学組成はChang et al.(1980)によって合成されたSbコサライト(C相),Y<SUB>1</SUB>-Y<SUB>2</SUB>相,W相にそれぞれ相当する.アンテモンとビスマスは互いに相関することから,両元素は2PbS-Bi<SUB>2</SUB>S<SUB>3</SUB>-Sb<SUB>2</SUB>S<SUB>3</SUB>系において互いに置換しあっていることが明らかになった.最大Bi/(Bi+Sb)比はSbコサライトでは0.75,未詳Pb-Bi-Sb-S鉱物では0.45,Biブーランジェライトでは0.16であった.