- 著者
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増田 博幸
角田 利晴
林 義次
西尾 四良
水井 悠
堀内 俊助
中山 恭彦
- 出版者
- 日本水産工学会
- 雑誌
- 水産工学 (ISSN:09167617)
- 巻号頁・発行日
- vol.37, no.2, pp.135-142, 2000-12-01
- 被引用文献数
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藻食性魚類による採食活動は、天然藻場の衰退に大きく関与し、藻場造成や海藻養殖の制限要因となっていることが指摘されている。宮崎県日向灘北部の熊野江、門川町地先では、アイゴの食害によりクロメ群落の葉状部が消失し、長崎県下ではアラメ類の葉状部欠損現象が観察され、その原因がブダイによる食害と推察されている。大野らは、海域に移植したカジメ類の成体が、ブダイに食害され葉状部が消失したことを報告している。伊豆半島先端部のカジメ群落では、標識カジメ個体の葉状部がアイゴとブダイに採食され消失する過程が追跡されているが、このような追跡例は少なく、藻食性魚類の採食活動がアラメ属、カジメ属海藻に与える影響については不明な点が多い。静岡県榛原郡相良町地先から御前崎町地先の沿岸には、かつてサガラメ、カジメの大群落が形成されていたが、昭和60年頃から衰退し、御前崎の岬先端の浅所にわずかに生育するサガラメ群落を除いて、現在まで磯焼け状態が持続している。