著者
青木 久
出版者
Japanese Association of Communication Disorders
雑誌
聴能言語学研究 (ISSN:09128204)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.41-46, 2002-04-25
参考文献数
8

本報告では,我々がこれまでに開発した1つのスイッチで操作するコンピュータ使用支援機器と,現在研究を進めている重度身体障害児・者用の新しい入力手段を紹介した.新しい入力方法は,文字認識に対する皮膚電位変化をスイッチの作動信号に採用したので,スイッチを操作するためにどのような動作も必要としない方法である.4名の健常な被検者の左手掌から記録した皮膚電位には,ターゲット文字の判別時に交感神経皮膚反応(SSR)が観察された.4名の被検者における文字認識時のSSR出現率の平均値は,63%であった.SSRのような皮膚電位をスイッチ作動信号として使用することには,脳波によるBrain Computer Interfaceと比較して,記録方法や信号判別の簡便さや,利用者の特別な訓練を必要としない点などの多くの利点があることが明らかになった.しかし,実用化するには,SSRの反応潜時が長いこと,出現率が低いこと,慣れなどの問題を解決する必要があることが示唆された.

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