著者
Houston Katirina M. Harnett William 山形 貞子 山形 達也
出版者
FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age)
雑誌
Trends in glycoscience and glycotechnology (ISSN:09157352)
巻号頁・発行日
vol.11, no.58, pp.43-52, 1999-03-02
参考文献数
39
被引用文献数
9

ホスホリルコリン(PC)はフィラリア(糸状虫)線虫によって分泌される多くのタンパク質(ES)に存在する免疫的に主要なエピトープであり、寄生虫が宿主の免疫応答を変えることによって生き延びることに関係していると考えられている。PCを持たないESを産生している線虫は生存期間が減少するだろうという考えに基づいて、ESへのPC付加機構の研究がなされてきた。ES-62は <i>Acanthocheilonema viteae</i> (フィラリアの齧歯類モデル)が産生するPCを持つ主なESであり、これを研究することによってPCがアスパラギン結合型糖鎖を介してタンパク質鎖に結合していることが示された。この型のPCと糖の間の結合はヒトの複合糖質には存在しないので、ESのPC-グリカンは化学療法の新しい標的となるだろう。パルス-チェイス実験からES-62へのPCの付加は、タンパク質合成の40-60分以内に起こる細胞内輸送の間というかなり早い時期に行われることが示された。細胞内輸送およびオリゴ糖のプロセッシングの阻害剤を用いた研究から、3種の試薬がES-62へのPCの付加を妨げることのできることが明らかとなった。ブレプェルディンAはERからゴルジへの輸送を阻害する; 1-デオキシノジリマイシン(dNM)はER内でα-グルコシダーゼIを阻害する。1-デオキシマンノジリマイシンは<i>cis</i>-ゴルジ内でα-マンノシダーゼIを阻害する。スワインソニンはα-グルコシダーゼIIの阻害剤であるがPCの転移は妨害しない。これらの観察からPCの付加は恐らくER以降の <i>medial</i> ゴルジ内で起こる出来事であり、PCが転移される基質はMan<sub>5</sub>GlcNAc<sub>3</sub>あるいはMan<sub>3</sub>GlcNAc<sub>3</sub>であることが示唆された。質量分析の結果はこの説明と矛盾せず、PCは3個のマンノースからなるマンノースコアに、0-1個のフコース、1-4個のGlcNAc残基を持つ糖鎖に付加していることを明らかにしている。

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こんな論文どうですか? 線虫の糖タンパク質N-型糖鎖にはホスホリルコリンが付いている(Houston Katirina M.ほか),1999 https://t.co/Hu535GDDZa

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