著者
酒井 温子 岩本 頼子 中村 嘉明
出版者
JAPAN WOOD PRESERVING ASSOCIATION
雑誌
木材保存 = Wood preservation (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.165-169, 2001-07-25
被引用文献数
4 2

奈良県森林技術センター明日香実験林において実施している野外杭試験の中で,重金属を含まない木材保存薬剤を加圧注入した杭の被害経過について報告する。杭試験体は,30×30×600mmのスギ辺材とした。無処理杭の耐用年数は地際部で1.5年,頂部で3.5年であった。<BR>これに対して,IPBCの吸収量が約1.5kg/m3以上の杭では,地際部,頂部とも9年以上の耐用年数が期待できた。また,IF-1000やフッ素系薬剤で処理した杭については,今回検討した濃度範囲では,耐用年数は地際部で4~7年,頂部で6~10年で短かった。<BR>169<BR>3.4アルキルアンモニウム化合物(AAC)処理杭との比較<BR>針葉樹の構造用製材の日本農林規格(1994年改正)で認定されている木材保存薬剤の中で,重金属を含まない薬剤には,アルキルアンモニウム化合物(AAC)がある。そこで,以下にAAC処理杭とIPBC処理杭の耐用年数や被害経過を比較する。<BR>すでに報告したように3),AAC処理杭では,地際部の耐用年数は,吸収量が4.5~9kg/m3で6~9年,9kg/m3以上で9~10年であった。また,頂部は試験期間が10年あるいは13年では耐用年数に達しなかった。8年経過時で吸収量が4.5~9kg/m3で被害度は1~1.5,9kg/m3以上で0.5~1であった。<BR>一方,IPBC処理杭については,3.1で述べたように,IPBCの吸収量が1.5kg/m3以上ならば地際部の耐用年数は9年以上が期待できる。IPBC処理杭は,AAC処理杭と同等もしくは今後の被害経過によってはそれ以上の耐用年数を有するといえる。<BR>しかし,頂部についてはIPBCの吸収量が1.5kg/m3以上であっても,8年経過時ですでに被害度は1.5~2.5で,AAC処理【引用文献】<BR>1) 酒井温子, 岩本頼子, 中村嘉明:木材保存,27(3), 114-120 (2001)<BR>2) 中村嘉明:材料, 359,929-934 (1983)<BR>3) 酒井温子, 岩本頼子, 中村嘉明:木材工業,56(1), 17-22 (2001)<BR>4) 酒井温子 : 奈良県森林技術センター研究報告, 30, 27-38 (2000)<BR>5) 雨宮昭二 : 林業試験場研究報告, 150, 143-156 (1963)<BR>6) 雨宮昭二, 松岡昭四郎,庄司要作, 井上衛,阿部寛, 内藤三夫 : 林業試験場研究報告, 230,105-142 (1970)

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こんな論文どうですか? 重金属を含まない木材保存薬剤を加圧注入した杭の被害経過(酒井 温子ほか),2001 http://t.co/Yr7GIXMd
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