著者
森田 琢雅 溝上 章志 中村 嘉明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.I_993-I_1001, 2017 (Released:2017-12-27)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

近年,地方では公共交通利用者数の減少による事業者の赤字経営が問題となっている.また多くの利用がある都市部の公共交通でも,渋滞緩和や乗換の待ち時間調整などの課題は尽きない.より正確で詳細な公共交通の利用実態の把握,問題の原因発見や運行の見直しが必要とされている.本研究では熊本市電を対象に,ICカードデータを利用して,利用者特性分析と実績ダイヤの作成・分析を行った,具体的には,クラスター分析による利用者の分類と定期券購入前後での利用変動の分析,ダイヤ編成支援システムとの結合による実績ダイヤの作成,問題点の考察を行った.
著者
中村 嘉明 溝上 章志
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_1197-I_1205, 2018

我が国における乗合バスの輸送人員は1968年にピークを迎え,その後減少を続けている.そのような状況の中,バス利用者の減少の歯止めとして期待され,1980年頃からバスロケーションシステムの導入が全国で進んだ.2017年現在,バスロケーションシステムは全国で様々な通信インフラや,クラウドなどのサービスを利用し導入され,その形態は多様化している.一方で,過去に導入したバスロケーションシステムに導入効果が認められず,サービス廃止やシステムの入れ替えが行われているものも数多く存在する.本研究では,全国のバス事業者へのバスロケーションシステムに関するアンケートの調査結果と,多くのバスロケーションシステムの導入・運用の実態をもとに,バスロケーションシステムの現状と課題,今後のバスロケーションに求められるものを示す.
著者
森高 久恵 木村 光孝 中村 嘉明 松山 道孝 住本 和隆 篠崎 英一
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.515-522, 1983-09-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
18

著者らは,初診時4歳9ヵ月,Hellman's Dental Age II Aの女児において,既に4歯芽の早期萌出と,動揺による咀嚼障害を主訴として来院した症例に遭遇した。歯芽は舞踏状に動揺し,脱落寸前であった。電気診(一),X線診査で歯根形成が認められないため,保存不可能と判断し歯芽を除去した。歯芽のエナメル質表面は一部褐色を呈している部分があり,エナメル質形成不全であると思われた。除去した歯芽を2分割し,一方は未脱灰研磨切片を作製し光顕的観察に,もう一方は走査電顕的観察に用いた。光顕的にはエナメル質,象牙質ともに形成不全像を呈し,電顕的には肉眼像で褐色を呈する部分にpitsが散在し,構造は粗造でエナメル質低石灰化像を呈していた。低石灰化部と健全部のエナメル質をX線マイクロアナライザーで分析すると,定性的には全く差異を認めなかった。歯芽と同時に歯芽直下の歯槽内より摘出した軟組織の病理組織所見は慢性肉芽性炎症であった。本症例の発生原因を文献的考察と合わせて探ってみた結果,先行乳歯への影響が永久歯歯芽に及び,歯芽が壊死に陥ったため異物排除機転が働いたものと考えられる。
著者
酒井 温子 岩本 頼子 中村 嘉明
出版者
JAPAN WOOD PRESERVING ASSOCIATION
雑誌
木材保存 = Wood preservation (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.165-169, 2001-07-25
被引用文献数
4 2

奈良県森林技術センター明日香実験林において実施している野外杭試験の中で,重金属を含まない木材保存薬剤を加圧注入した杭の被害経過について報告する。杭試験体は,30×30×600mmのスギ辺材とした。無処理杭の耐用年数は地際部で1.5年,頂部で3.5年であった。<BR>これに対して,IPBCの吸収量が約1.5kg/m3以上の杭では,地際部,頂部とも9年以上の耐用年数が期待できた。また,IF-1000やフッ素系薬剤で処理した杭については,今回検討した濃度範囲では,耐用年数は地際部で4~7年,頂部で6~10年で短かった。<BR>169<BR>3.4アルキルアンモニウム化合物(AAC)処理杭との比較<BR>針葉樹の構造用製材の日本農林規格(1994年改正)で認定されている木材保存薬剤の中で,重金属を含まない薬剤には,アルキルアンモニウム化合物(AAC)がある。そこで,以下にAAC処理杭とIPBC処理杭の耐用年数や被害経過を比較する。<BR>すでに報告したように3),AAC処理杭では,地際部の耐用年数は,吸収量が4.5~9kg/m3で6~9年,9kg/m3以上で9~10年であった。また,頂部は試験期間が10年あるいは13年では耐用年数に達しなかった。8年経過時で吸収量が4.5~9kg/m3で被害度は1~1.5,9kg/m3以上で0.5~1であった。<BR>一方,IPBC処理杭については,3.1で述べたように,IPBCの吸収量が1.5kg/m3以上ならば地際部の耐用年数は9年以上が期待できる。IPBC処理杭は,AAC処理杭と同等もしくは今後の被害経過によってはそれ以上の耐用年数を有するといえる。<BR>しかし,頂部についてはIPBCの吸収量が1.5kg/m3以上であっても,8年経過時ですでに被害度は1.5~2.5で,AAC処理【引用文献】<BR>1) 酒井温子, 岩本頼子, 中村嘉明:木材保存,27(3), 114-120 (2001)<BR>2) 中村嘉明:材料, 359,929-934 (1983)<BR>3) 酒井温子, 岩本頼子, 中村嘉明:木材工業,56(1), 17-22 (2001)<BR>4) 酒井温子 : 奈良県森林技術センター研究報告, 30, 27-38 (2000)<BR>5) 雨宮昭二 : 林業試験場研究報告, 150, 143-156 (1963)<BR>6) 雨宮昭二, 松岡昭四郎,庄司要作, 井上衛,阿部寛, 内藤三夫 : 林業試験場研究報告, 230,105-142 (1970)