著者
手塚 大介 森若 専太
出版者
日本木材保存協会
雑誌
木材保存 = Wood preservation (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.20-26, 2011-01-25
被引用文献数
1

木造家屋の土台が設置される床下環境に則した条件を想定した試験装置を考案した。イエシロアリ(Coptotermes formosanus)およびヤマトシロアリ(Reticulitermes speratus)が混在して生息している野外試験地において、乾式防腐・防蟻処理薬剤ニッサンクリーンCIで加圧注入処理した集成材、LVLに対する防蟻性能試験を実施した。乾式防腐・防蟻処理薬剤ニッサンクリーンCIを耐久性区分K3で処理した試験体は、5年目が経過してもシロアリの食害を受けなかった。一方で、同条件の無処理試験体は、3年目が経過したころから食害を受け始め、5年目では食害が進行していた。また、試験体材表面の蟻道形成においても、無処理材と比較して遅延していることが確認できた。以上の結果から、ニッサンクリーンCI処理された土台は劣化促進した非暴露の条件下において、その防蟻性能を5年間以上保つことが示された。
著者
石野 信之
出版者
JAPAN WOOD PRESERVING ASSOCIATION
雑誌
木材保存 = Wood preservation (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.159-162, 1996-05-25

第46回日本木材学会が平成8年4月3日~5日の3日間熊本大学教養部を会場に開催されました。大会期間中は寒の戻りで少々肌寒さを覚えましたが何とか天候に恵まれ,キャンパスの満開に咲く桜のもと,約600件の研究発表・討議がなされました。
著者
長野 行紘 白石 徹治 村上 正人 小寺 学 DRYSDALE Jeanette
出版者
JAPAN WOOD PRESERVING ASSOCIATION
雑誌
木材保存 = Wood preservation (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.82-95, 1996-03-25
被引用文献数
3

The purposes of this report were to impove the efficacy agaist a brown rot fungus, Tyromyces palstris, by mixing various cobiocides to the inorganic preservative reported in prior paper. The efficacy of the preservatives was estimated by the method of JIS A 9201. From the experimental results, some cobiocides were selected and were subjected to further simulated field and field tests. Tebuconazole had the highest synergic effect as a cobiocide. Boric acid which was important component of ACB and CCB approved in Europe was also a superior cobiocide.<BR>In the field test, the preservative prepared by the mixing the inorganic copper solution 20, boric acid 56 and tebuconazole 1 had the comparable effect to CCA-type 1 at the same copper retention.<BR>The synergic effects became higher in order tebuconazole, DDAC, boric acid in the field test. In the simulated field test, tebuconazole had also the highest effect, however, DDAC and boric acid had considerably lower effects.<BR>The difference between these results was due to the participation of copper-tolerant fungi. The simulated field test included the copper-tolerant fungi and gave the severer test condition to the treated wood than the field test gave.<BR>From these results, it was considered that the simulated field test could be used instead of the field test with reducing greatly test period.
著者
安藤 實 石栗 太 横田 信三 吉澤 伸夫
出版者
JAPAN WOOD PRESERVING ASSOCIATION
雑誌
木材保存 = Wood preservation (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.208-215, 2001-09-25

本研究では,スギ丸太を材温80℃,40時間で燻煙熱処理を行い,壁孔壁の破壊率を測定した。また熱処理後,市販の難燃剤で減圧注入処理し,重量増加率を求め,薬剤の浸透性を評価した。さらに,作製した難燃材の難燃性及び材質特性を評価した。燻煙熱処理により,破壊された壁孔壁の割合は,心,辺材ともに増加した。減圧注入処理による重量増加率は,燻煙熱処理心材において大幅に増加する傾向が認められた。燃焼試験後の重量残存率は,減圧注入時の減圧度の増加と共に増加した。また,曲げ強さについては,薬剤注入による大幅な変化は認められなかったが,曲げヤング率は,重量増加率の増加にともなって増加する傾向が認められた。
著者
酒井 温子 岩本 頼子 中村 嘉明
出版者
JAPAN WOOD PRESERVING ASSOCIATION
雑誌
木材保存 = Wood preservation (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.165-169, 2001-07-25
被引用文献数
4 2

奈良県森林技術センター明日香実験林において実施している野外杭試験の中で,重金属を含まない木材保存薬剤を加圧注入した杭の被害経過について報告する。杭試験体は,30×30×600mmのスギ辺材とした。無処理杭の耐用年数は地際部で1.5年,頂部で3.5年であった。<BR>これに対して,IPBCの吸収量が約1.5kg/m3以上の杭では,地際部,頂部とも9年以上の耐用年数が期待できた。また,IF-1000やフッ素系薬剤で処理した杭については,今回検討した濃度範囲では,耐用年数は地際部で4~7年,頂部で6~10年で短かった。<BR>169<BR>3.4アルキルアンモニウム化合物(AAC)処理杭との比較<BR>針葉樹の構造用製材の日本農林規格(1994年改正)で認定されている木材保存薬剤の中で,重金属を含まない薬剤には,アルキルアンモニウム化合物(AAC)がある。そこで,以下にAAC処理杭とIPBC処理杭の耐用年数や被害経過を比較する。<BR>すでに報告したように3),AAC処理杭では,地際部の耐用年数は,吸収量が4.5~9kg/m3で6~9年,9kg/m3以上で9~10年であった。また,頂部は試験期間が10年あるいは13年では耐用年数に達しなかった。8年経過時で吸収量が4.5~9kg/m3で被害度は1~1.5,9kg/m3以上で0.5~1であった。<BR>一方,IPBC処理杭については,3.1で述べたように,IPBCの吸収量が1.5kg/m3以上ならば地際部の耐用年数は9年以上が期待できる。IPBC処理杭は,AAC処理杭と同等もしくは今後の被害経過によってはそれ以上の耐用年数を有するといえる。<BR>しかし,頂部についてはIPBCの吸収量が1.5kg/m3以上であっても,8年経過時ですでに被害度は1.5~2.5で,AAC処理【引用文献】<BR>1) 酒井温子, 岩本頼子, 中村嘉明:木材保存,27(3), 114-120 (2001)<BR>2) 中村嘉明:材料, 359,929-934 (1983)<BR>3) 酒井温子, 岩本頼子, 中村嘉明:木材工業,56(1), 17-22 (2001)<BR>4) 酒井温子 : 奈良県森林技術センター研究報告, 30, 27-38 (2000)<BR>5) 雨宮昭二 : 林業試験場研究報告, 150, 143-156 (1963)<BR>6) 雨宮昭二, 松岡昭四郎,庄司要作, 井上衛,阿部寛, 内藤三夫 : 林業試験場研究報告, 230,105-142 (1970)
著者
国土交通省大臣官房官庁営繕部整備課木材利用推進室
出版者
日本木材保存協会
雑誌
木材保存 = Wood preservation (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.213-220, 2011-09-25

木材は、我が国で古来より主要建築材として利用されてきましたが、戦後は都市の不燃化等の要請から、非木造化が指向されてきた傾向があり、特に公共建築物においては、必ずしも木材の利用が推進されてこなかった実情があります。 木材利用促進法において、木材利用についてのこれまでの考え方を抜本的に変換し、国はその整備する公共建築物について、自ら率先して、可能な限り木造化、内装等の木質化を図るという方向性が明確にされました。 これを契機に、公共建築物における木材の利用を促進するとともに、日本人が古来より慣れ親しんできた「木」の良さを、より身近に国民の皆様にも感じていただけるよう、そしてそれにより木材の利用がより一層推進されるよう、官庁営繕部としても、関係機関と連携を図りながら、様々な取組を推進していきたいと考えています。