- 著者
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常松 展充
甲斐 憲次
- 出版者
- 社団法人日本気象学会
- 雑誌
- 天気 (ISSN:05460921)
- 巻号頁・発行日
- vol.50, no.7, pp.527-537, 2003-07-31
- 被引用文献数
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5
夏の晴れた日の名古屋周辺域における収束雲の有無に着目し,それと局地的な風系および大気汚染との関係に焦点を当て,濃尾平野を中心とする地域の夏季晴天日について,統計解析,現地観測,数値シミュレーションを行った.まず,夏季晴天日として抽出した82日の,15時における統計解析の結果,伊勢湾からの南西風(海風)と,その前方の弱風域,および関ヶ原・養老山地方面からの西風が,名古屋市北部〜北東部で収束しており,同地域でSPM (Suspended Particulate Matter)の濃度が周辺地域に比べて高いことが分かった.また,気象衛星ひまわりが捉えた可視光線のアルベドを統計解析した結果,名古屋市北東部に,周辺の平野部と比べてアルベドの特に高い領域(雲の存在しやすい領域)が認められた.つぎに,夏季の晴天日に行ったSPM濃度の現地観測の結果により,名古屋市北部〜北東部においてSPM濃度が周辺地域よりも高い,という統計解析の結果を確認することができた.これらのことから,夏季晴天日の名古屋市北東部においては,風の収束に伴い,人為起源のSPMを凝結核とする収束雲が形成されやすいものと考えられる.また,この現象は南関東に発生する環八雲に類似した点があるといえよう.さらに,数値シミュレーションの結果により,伊勢湾からの海風およびその前方の弱風域との間で収束する関ヶ原・養老山地方面からの西風は,琵琶湖の影響を受けていることが示唆された.