著者
瀬田 拓 稲田 晴生 安保 雅博 杉本 淳 宮野 佐年
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.307-312, 2004-05-18
被引用文献数
1 1

健常成人109人の嚥下造影(40%バリウム5ml嚥下を1対象者につき3回,合計327回)を施行した.正面像を検討し上部食道の造形パターン分類を試みた.造影パターンは梨状窩通過直下での左右差より左(右)梨状窩のみ通過,左(右)梨状窩優位通過,両側梨状窩通過に大分類した.さらに上部食道内で左右に分かれて流れる造影剤の合流の有無から細分化し,合計13種類の造影パターンを定義した.両側梨状窩通過のパターンに分類された対象者が60%で,40%は左右差のあるパターンに分類された.左右差がある場合には,左優位の造形パターンに分類されることが多かった.左右差の生じる理由は,下咽頭への流入量差による感覚入力の左右差が,下咽頭収縮圧や食道入口部開口状態の左右差に影響を与えている可能性や,正中線よりやや左よりを走行する上部食道の解剖学的位置などが考えられたが,さらなる解剖学的・機能的な理由を踏まえた検討が必要である.

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