- 著者
-
木下 睦
高橋 悟
金 放鳴
山崎 友紀
守谷 武彦
榎本 兵治
- 出版者
- 公益社団法人 石油学会
- 雑誌
- Journal of the Japan Petroleum Institute (ISSN:13468804)
- 巻号頁・発行日
- vol.48, no.5, pp.272-280, 2005-09-01
- 参考文献数
- 14
- 被引用文献数
-
1
14
超臨界水を用いたビチューメンのオンサイト改質における脱硫の促進を目的として,ベンゾチオフェン(BT)類とジベンゾチオフェン(DBT)類のアルカリ水熱反応による分解を検討した。BTおよびDBT類はアルカリ水熱処理で分解し,分解の容易さはアルカリ水溶液の種類および濃度により影響を受け,KOH水溶液中での分解が最も進行した。分解はある濃度で残存率が最小となる極値を示した。また,水の超臨界状態では反応圧力が高い方が分解は容易に進行した。BT類とDBT類の両方について,本研究で報告した水熱分解とこれまでに他の研究者によって報告されている水素化脱硫法(HDS)とで生成物が異なり,また見かけの活性化エネルギーも大きく相違しており,両分解法において反応機構が異なることが示唆された。BTはDBTよりも分解が容易に進行し,またメチル基を有する硫黄化合物とメチル基を有さない硫黄化合物の分解の容易さを比較すると,メチル基を有さない硫黄化合物の方が容易に分解する。これらの傾向はHDSの場合と同様であり,水熱分解の場合も化合物の分子構造の影響を受けることがわかった。<br>