著者
宮地 悟史 滝嶋 康弘 羽鳥 好律
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.88, no.7, pp.1114-1125, 2005-07-01

地上ディジタル1セグメント放送への適用を目的としたH.264レート制御方式について提案する.従来のレート制御では, GOP単位に一定量を割り当てる手法が一般的で, 画像品質の面並びにバッファサイズを用途に応じて厳密に設定できないなどの問題があった.これに対し本論文では, H.264の符号化特性をベースにして, 画像性質を最大限に考慮した情報量割当と, HRDバッファ制約への準拠との両立を目的とした方式を提案する.画像性質の反映に関しては, フレームごとの予測誤差を事前に算出し, それに基づき最適な発生情報量を予測する.また, バッファ制約の考慮については, GOPのバッファ遷移状態から得られるスケーリング概念を新たに導入し, 予測された発生情報量に適用して割り当てるべき情報量を得る.このようにして割り当てられた情報量は, 一定のバッファ制約のもとで, 各フレームの性質を相対的に反映させたものとなる.シミュレーション結果により, 本提案レート制御方式が, 画質変動を最小限に抑え, また, バッファ制約に準拠していることが確認された.

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