著者
藤田 昌彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.88, no.7, pp.1278-1290, 2005-07-01
被引用文献数
2

運動学習理論の新しい枠組みを提案する.随意運動の計画段階では, 特に弾道的な運動では運動実行段階も含めて, 視覚系や末梢部からのオンラインフィードバックに依存しない前向きの情報フローで処理を行うのが主であり, 運動-誤差評価-修正運動を繰り返して間欠的に学習を進めていると思われる.基本的な考えとして, 最初の運動指令が修正運動指令を少しずつ取り込むなら, 運動学習はうまくいくはずである.場所符号化された運動指令のユニット群から適切な修正運動ユニットを学習信号が指定し, その修正運動指令の成分を長期減弱の学習機構を通して小脳が皮質下降路や大脳皮質内回路の運動指令に徐々に付与するというフィードフォワード連合学習を提案する.付与する指令が修正運動でなく共同運動であれば階層的な連合学習回路によって運動協調を組織できる.提案する学習の回路と機構に基づいて, 眼球運動saccadeにおける適応を小脳皮質の長期減弱機構で説明する.

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