著者
河内 まき子 持丸 正明
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
Anthropological science. Japanese series : journal of the Anthropological Society of Nippon : 人類學雜誌 (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.114, no.1, pp.45-53, 2006-06-01
被引用文献数
2

日本人の顔面平坦度が20世紀において変化したかどうかを明らかにするため,生年が約80年異なる男性二群(1894年群,1974年群)の顔面石膏模型を比較した。石膏採取時の年齢は大差ないが(平均年齢29.5歳,26.1歳),1894年群はデスマスク(N = 52),1974年群は座位で採取したライフマスク(N = 56)である。石膏模型上に11の計測点を定義し,それらの3次元座標値をデジタイザで取得し,顔面平坦度にかかわる8項目および4示数を算出した。両群の差をt-検定で検定した。1894年群のうち11体については,頭骨についても10の計測点座標値を取得し,6項目および3示数を算出した。頭骨からの対応する項目との間に有意な相関が系統的に認められた石膏からの項目は,眼窩内側間幅(mf間幅),鼻根―眼窩内側深さ(セリオン―mf深さ),鼻根―眼窩内側扁平示数(セリオン―mf扁平示数)だけであった。鼻根から眼窩内側,眼窩外側,眼裂外側までの深さと扁平示数に有意な群間差が認められ,いずれにおいても1974年群の方が深さが大きく,扁平示数が大きい,すなわち扁平傾向が小さかった。骨格と関連が認められた鼻根―眼窩内側深さと鼻根―眼窩内側扁平示数について,二群の差の原因として計測誤差,栄養状態の違いによる軟部の厚みの差の効果,石膏採取時の姿勢の違いについて検討した。これらだけでは群間差を説明できないことから,過去80年間に鼻根部形態は変化し,立体的になったと考えられる。<br>

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