著者
河内 まき子
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.97, no.3, pp.373-388, 1989-07-31 (Released:2008-02-26)
参考文献数
16
被引用文献数
2 2

足部形状の個人差を明らかにするため,男女各152名について計測された右足の生体計測項目21項目の主成分分析を行なった。この結果抽出された形の因子を代表するような示数を考案し,これを用いてクラスター分析を行い,足型の分類を試みた。この結果,男女とも1)足軸の位置,2)ボール部の足軸に対する傾き,3)ボール部の幅,4)甲の高さ,の4つの形の因子が抽出された。クラスター分析の結果,男女とも4人以上から成るクラスターが7つできた。人数が最も多いクラスターを標準型とすると,標準型に入るのは男子で42%,女子では35%である。また,女子は男子よりも個人差が大きいようであり,男子では足の幅が広いタイプ(31%)が,女子では甲の高いタイプ(37%)がかなり多い。現代日本人の足部形状の個人差は,履物による足の変形の影響をふくんだものなので,履物の影響を受けない状態ではどのような個人差があるのかを明らかにするためには,靴を履かない集団の調査が必要である。
著者
倉林 準 持丸 正明 河内 まき子
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.29-36, 2003 (Released:2004-02-27)
参考文献数
9
被引用文献数
80 35

関節中心位置の推定方法は, 特に検証をされないまま用いられてきた. 本研究では, 日本人健常成人男性43名の骨盤部MR画像を用いて, 臨床歩行分析研究会, Davis, Vaughanによる股関節中心位置の推定方法について検証を行った. 推定誤差は股関節中心位置のMR画像からの実測値と推定値の距離で定義した. オリジナルの方法の推定誤差平均値は, 上記3手法で, 順に, 17.1mm, 13.4mm, 32.0mmであった. オリジナルの方法論の数式を変えずに, パラメータのみを日本人男性用に最適化し, 実測可能なパラメータのみで実用的に構成した修正版での推定誤差平均値は, 順に9.9mm, 24.8mm, 19.8mmであった.
著者
河内 まき子 持丸 正明
出版者
一般社団法人 日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.114, no.1, pp.45-53, 2006 (Released:2006-06-23)
参考文献数
15
被引用文献数
2 2

日本人の顔面平坦度が20世紀において変化したかどうかを明らかにするため,生年が約80年異なる男性二群(1894年群,1974年群)の顔面石膏模型を比較した。石膏採取時の年齢は大差ないが(平均年齢29.5歳,26.1歳),1894年群はデスマスク(N = 52),1974年群は座位で採取したライフマスク(N = 56)である。石膏模型上に11の計測点を定義し,それらの3次元座標値をデジタイザで取得し,顔面平坦度にかかわる8項目および4示数を算出した。両群の差をt-検定で検定した。1894年群のうち11体については,頭骨についても10の計測点座標値を取得し,6項目および3示数を算出した。頭骨からの対応する項目との間に有意な相関が系統的に認められた石膏からの項目は,眼窩内側間幅(mf間幅),鼻根―眼窩内側深さ(セリオン―mf深さ),鼻根―眼窩内側扁平示数(セリオン―mf扁平示数)だけであった。鼻根から眼窩内側,眼窩外側,眼裂外側までの深さと扁平示数に有意な群間差が認められ,いずれにおいても1974年群の方が深さが大きく,扁平示数が大きい,すなわち扁平傾向が小さかった。骨格と関連が認められた鼻根―眼窩内側深さと鼻根―眼窩内側扁平示数について,二群の差の原因として計測誤差,栄養状態の違いによる軟部の厚みの差の効果,石膏採取時の姿勢の違いについて検討した。これらだけでは群間差を説明できないことから,過去80年間に鼻根部形態は変化し,立体的になったと考えられる。
著者
加藤 清忠 矢島 忠明 河内 まき子 保志 宏
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.97, no.1, pp.81-93, 1989 (Released:2008-02-26)
参考文献数
19
被引用文献数
2

身体の大きさやプロポーショソの性差は.(1)絶対値を比較する,(2)身長にたいする比例値を比較する,などの方法で解析されてきた.この場合,最も問題となるのは,全体的な大きさが男女で著しく異なるという点である.すなわち,世界中どこでも,常に男子は身長で10cm 強,体重で10kg 強,女子を上回っているのである.そのため,全体的な大きさと相関のあるようなプロポーションは,真の性差に,大きさの差に起因する差が混入する結果となる.例えば,胴と脚の比率では,身長の大きい者ほど脚が長い,という関係があることは,よく知られている通りであり,従って,身長の大きい男子は,当然,その分だけ脚が長くて当然である.身長に対する下肢長の比,すなわち比下肢長は世界中どこでも男子の方が大きな値を示しているが,これが果して性差であるのかどうかは,直ちには判定できない.男子の方が身長が大きいために,比下肢長が大きく出ているに過ぎないかもしれないからである.このような身体の大きさの差の影響を取り除いて,真の性差を知るための最も直接的な方法は,同じ背の高さの男女を比較してみることである.本論文は,この方法によるひとつの試みである.資料は,男子は,保志•河内によって計測された茨城県警察学校新入生の資料(保志ほか1978)の中から身長170-179cm の者を,女子は,加藤•矢島によって計測された高身長女子運動選手(主としてバレボール•バスケットボウルの学生選手)の資料 (加藤ほか1984)の中から身長170-179cm の者を用いた.後者の大部分の者のトレーニソグ•キャリアーは3年より短く,従って,運動選手であるがための体型変化は,さほど大きくはないと思われるが,筋の発達や皮下脂肪の減少などが影響しそうな測度については,特に注意して比較した.解析は,28項目の生体計測値 (頭部を除く) および23項目の指数値について,(1)平均値の比較,(2)主成分分析による検討,の二つの角度から行った.その結果,次のようなことが明らかになった.1.体重の平均値に差がなかった.皮下脂肪厚は著明に女子で大であったので,女子が多少とも小さいであろうという予想に反した結果であった.あるいはスポーツ選手であるので,一般女子より筋や骨の発達がよいかもしれない.但し,体重値の身長値に対する散布図(Fig.10)では,一般女子より重くなっている様子は見てとれない.2.下肢の長さの代表値として腸骨棘高は女子で大きい.その身長に対する比例値も女子で大きく,女子の方が「あしなが」体型であることを示している.このことは既に幾人かの研究者によって間接的に指摘されてきたことである.本研究の女子の資料はスポーツ選手から得られているので,特に脚の長い者ぼかり選ぼれている恐れがある.そこで,一般女子の資料(保志ほか1980)とともに,身長に対する散布図を作製して調べた(Fig.9)が,特に長いということはないことがわかった.3.胴部の測度は,長さ•周径とも男子で大きく,骨盤と下肢の測度は,長さ•周径とも女子で大きい.上肢では長さには性差はないが,周径は男子で大きい.結局,体重•上肢長•下腿最小囲の3項目だけ,性差がみられなかった.主成分分析の後,因子負荷量を算出すると,胴部の項目は第2主成分の負の領域に,骨盤と下肢の項目は正の領域に分かれて現われる(Fig.7).因子得点を計算して第1•第2主成分の散布図を作ると(Fig.8),すべての女子は正の領域に分布し,男子は唯一人を除いて負の領域に分布する.3.今回計測解析された生体計測項目は,大きさの影響を取り除いた後の性差の特徴によって,次のような3群に分類することができる.A群:男子が女子より大きい項目.一胴長(比胴長Fig. 2),手幅,足長,肩峰幅(Fig. 3,11),胸幅,胸矢状径,頸囲(Fig. 5),胴囲,上腕囲,前腕最大囲,前腕最小囲,胸郭周.B群:性差がない項目.一体重(Fig. 10),上肢長,下腿最小囲.C群:女子が男子より大きい項目.一腸骨棘高(Fig. 9,比腸骨棘高 Fig. 1),膝関節高,腸骨稜幅(Fig. 4),最大腰幅,腰囲(Fig. 6),大腿囲,下腿最小囲,皮下脂肪厚.
著者
河内 まき子 持丸 正明
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
Anthropological science. Japanese series : journal of the Anthropological Society of Nippon : 人類學雜誌 (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.114, no.1, pp.45-53, 2006-06-01
被引用文献数
2

日本人の顔面平坦度が20世紀において変化したかどうかを明らかにするため,生年が約80年異なる男性二群(1894年群,1974年群)の顔面石膏模型を比較した。石膏採取時の年齢は大差ないが(平均年齢29.5歳,26.1歳),1894年群はデスマスク(N = 52),1974年群は座位で採取したライフマスク(N = 56)である。石膏模型上に11の計測点を定義し,それらの3次元座標値をデジタイザで取得し,顔面平坦度にかかわる8項目および4示数を算出した。両群の差をt-検定で検定した。1894年群のうち11体については,頭骨についても10の計測点座標値を取得し,6項目および3示数を算出した。頭骨からの対応する項目との間に有意な相関が系統的に認められた石膏からの項目は,眼窩内側間幅(mf間幅),鼻根―眼窩内側深さ(セリオン―mf深さ),鼻根―眼窩内側扁平示数(セリオン―mf扁平示数)だけであった。鼻根から眼窩内側,眼窩外側,眼裂外側までの深さと扁平示数に有意な群間差が認められ,いずれにおいても1974年群の方が深さが大きく,扁平示数が大きい,すなわち扁平傾向が小さかった。骨格と関連が認められた鼻根―眼窩内側深さと鼻根―眼窩内側扁平示数について,二群の差の原因として計測誤差,栄養状態の違いによる軟部の厚みの差の効果,石膏採取時の姿勢の違いについて検討した。これらだけでは群間差を説明できないことから,過去80年間に鼻根部形態は変化し,立体的になったと考えられる。<br>
著者
齋藤 早紀子 小林 吉之 河内 まき子
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.228, 2023 (Released:2023-11-23)
参考文献数
23

若年女性の歩容から受ける美的印象に対する観察者の性別の影響を調べた.はじめに,歩行動作の印象を具体的なイメージとして喚起するような評価用語を検討した.重回帰分析の結果,色っぽい,スムーズである,バランスが悪い,が選定された.20 の歩行動作に女性のデジタルマネキンをあてはめた動画を作成し,各用語がどの程度当てはまるかを5 件法で回答させた.その結果,同じ歩容から受ける色っぽいという印象は,男性観察者群の方が女性観察者群よりも有意に高い評価得点を示し,スムーズである,バランスが悪いには有意差がなかった.さらに,色っぽいという用語のみ,男性観察者と女性観察者の評価得点間に有意な相関が見られなかったことから,男性観察者と女性観察者では色っぽいと感じる女性の歩容が異なるものといえる.そこで,提示画像に用いた1 歩分の関節角度を主成分分析によって分析し,動作特徴を抽出し,「色っぽい」という語の評価得点との関連を調べた.「色っぽい」という語の評価得点は,男性観察者では第5 主成分得点との間に有意な負の,女性観察者では第3 および第5 主成分得点との間に有意な負の相関がみられ,男性観察者と女性観察者では,色っぽいという印象をうける女性の歩行特徴が異なっていた.また色っぽいという印象をうける女性の歩容は,先行研究とは異なり,必ずしも歩行者の腰部の動きが大きいこととは関係していなかった.
著者
矢原 弘樹 高橋 瑛逸 福井 幸男 西原 清一 持丸 正明 河内 まき子
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.44-52, 2007 (Released:2008-07-30)
参考文献数
20

近年,3次元計測技術の発展に伴って,3次元身体モデルを利用した身体に適合する製品設計が注目されてきている.しかし,3次元スキャナ等で計測された身体の表面形状データは座標系が定められていない.そこで,従来は座標系を定めるために必要な身体の部位に,3次元スキャナで計測可能なマーカーを専門家があらかじめ貼る事で解決していた.しかし,マーカーを貼ることは手間や顧客への心理的負担がかかるという問題があった.本稿では,足部モデルの座標系を定義するのに必要な身体の部位MT(脛側中足点)とMF(腓側中足点)の位置を,すでにそれらの位置が定められているサンプルモデルセットをあらかじめ用意しておき,それらの統計的な情報を基にマーカーの位置情報無しの表面形状データのみの足部モデルのマーカーの位置を推定することで,座標系を設定する手法を提案する.そして,FFD法を用いた身体モデル生成法を用いることで,推定されたMT,MFの位置推定の精度向上を試みる.
著者
矢原 弘樹 水野 一徳 福井 幸男 西原 清一 持丸 正明 河内 まき子
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.168-175, 2005 (Released:2008-07-30)
参考文献数
19
被引用文献数
4 4

本稿では3次元スキャナ等で計測された身体形状データから,製品設計に用いるための解剖学的特徴点情報を持った身体モデルを自動生成する手法について述べる.解剖学的特徴点は3Dスキャナによって得られた身体の表面形状から自動抽出することは非常に困難である.我々は以前の報告で,FFD法を用いて解剖学的特徴点のテンプレートを推定対象の形状に変形させることで,解剖学的特徴点位置を自動推定する手法を提案した.しかし,この手法で推定された解剖学的特徴点は,まだ実用的な精度で推定できていなかった.そこで,この手法における誤差の要因を分析し,その対策をすることで誤差を減少させることを試みた.足部モデルの中でも特に表面形状に解剖学的特徴が現れにくく,自動推定が難しいくるぶしの解剖学的特徴点の推定に注目する.
著者
河内 まき子 小泉 清隆
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.100, no.4, pp.405-416, 1992 (Released:2008-02-26)
参考文献数
18
被引用文献数
4 4

現代日本人頭骨計測値の地域性に影響を与える要因として,計測誤差,標本のサンプリングによる偏り,時代変化がある.計測誤差およびサンプリングにより生じる差をコントロールとして集団間差の大きさを評価し,現代日本人頭骨にみられる地域差と時代差の関連を検討することを目的として,現代日本人頭骨研究班による近世アイヌをふくむ日本人15集団間の差を分析した.計測誤差とサンプリングによる差のためのコントロールとして東京都出土の江戸時代後期の男性頭骨延べ13集団を用いた.また,江戸時代以後における頭骨計測値の時代変化を調べるために,江戸時代および現代日本人頭骨を比較した.計測誤差が小さい項目を用いた多変量解析の結果,現代日本人頭骨の集団間差は計測誤差よりはるかに大きく,全体としてみればサンプリングによる差に比べても大きい.資料の収集年度を検討すると,クラスター分析の結果に基づくアイヌを除く現代日本人14集団のグループ分けは時代変化の影響をかなり強く受けていると考えられる.判別分析の結果によれば,このグループ分けに最も大きな影響をもつ項目は頭骨最大幅である.統計的に有意な集団問差を示す項目の多くは時代変化をも示すたあ,明治から昭和時代にかけて集められた頭骨資料に基づいて,時代変化の影響をとり除いた地域差を分析することは難しいであろう.
著者
遠藤 維 金井 理 宮田 なつき 河内 まき子 持丸 正明
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.548-553, 2009-04-05 (Released:2011-02-07)
参考文献数
9
被引用文献数
2 3

The purpose of this research is to develop a virtual ergonomic assessment system that evaluates grasp stability and ease of grasping of products such as digital cameras without real subjects and physical mockups by integrating 3D digital hand models with the 3D CAD models of the products. In this paper, we propose “ease of grasping” as a new index for the assessment. This index is calculated from the “EOG-map”, in which example grasp postures of real subjects are plotted as principal component scores in low dimensional space. We also propose an optimization-based correction method for an inappropriate finger posture by using the EOG-map.
著者
土肥 麻佐子 持丸 正明 河内 まき子
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.228-237, 2001
被引用文献数
6

高齢者への靴の適合性の向上には, 高齢者独自の足部形態特性を把握することが重要と考え, 形態特性と靴の履き心地との関連を検討した. 高齢者女子50名 (60~81歳) を対象にアンケート調査を実施し, 靴に対する意識および靴の不適合部位を調べた. 次に, 高齢者90名 (60~81歳) と若年者148名 (18~27歳) の足長・足囲分布の世代差を検討した. さらに, 高齢者50名 (60~81歳) と若年者166名 (18~27歳) の足長サイズ別形態特性の世代差について, 寸法・角度等20項目の計測値と2示数および3次元形態特徴の推定得点より検討した. この結果, 高齢者の足は同一足長の若年者より足囲が大きく (JIS足囲サイズのEEEを中心に分布), つま先形状が第1指がまっすぐ伸び第5指が内反した先広の傾向である. 足部前方は分厚く, 足首より後方が長いことがわかった. これらは, 第1指や外果下方に不適合が多いことと関連があり, 履き心地の不満を裏付けるものである. 靴設計に高齢者の形態特性を反映することで適合性の向上が期待できる.
著者
土肥 麻佐子 持丸 正明 河内 まき子
出版者
日本感性工学会
雑誌
感性工学研究論文集 (ISSN:13461958)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.53-58, 2006 (Released:2010-06-28)
参考文献数
9
被引用文献数
1

Attitudes involved in shoe selection and the present situation of shoe comfort were investigated using the questionnaire method. A questionnaire survey was conducted in 2002 of 181 female university students (18-20 years). Questionnaire items asked about 3 items: 1) shoes usually worn; 2) shoes on the market; and 3) troubles noted when wearing own shoes. Specific questions were identical to those used in a questionnaire survey for elderly women conducted in 1997. Foot length and foot girth were measured at the same time for 54 of these 181 subjects. The mean foot girth of young women was significantly smaller than that of elderly women, and the suitable foot girth size was D or narrower in 52% of subjects. Many young women wore heeled shoes with ball girth larger than their foot girths. Young women experienced difficulties with shoe comfort mainly in the ball and plantar arch, which are different from those experienced by elderly women. One of the reasons for shoe discomfort in young women may be feet sliding forward on the shank curve of shoes due to wearing shoes with ball girth too large for their feet. To improve shoe comfort, consumers need to recognize their own foot girth size, and select shoes of suitable size. Since shoes with narrower than average foot girth size are few at present, shoe comfort would be improved by increasing the supply of narrower shoes on the market.
著者
土肥 麻佐子 持丸 正明 河内 まき子
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.228-237, 2001-10-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
13
被引用文献数
3 6

高齢者への靴の適合性の向上には, 高齢者独自の足部形態特性を把握することが重要と考え, 形態特性と靴の履き心地との関連を検討した. 高齢者女子50名 (60~81歳) を対象にアンケート調査を実施し, 靴に対する意識および靴の不適合部位を調べた. 次に, 高齢者90名 (60~81歳) と若年者148名 (18~27歳) の足長・足囲分布の世代差を検討した. さらに, 高齢者50名 (60~81歳) と若年者166名 (18~27歳) の足長サイズ別形態特性の世代差について, 寸法・角度等20項目の計測値と2示数および3次元形態特徴の推定得点より検討した. この結果, 高齢者の足は同一足長の若年者より足囲が大きく (JIS足囲サイズのEEEを中心に分布), つま先形状が第1指がまっすぐ伸び第5指が内反した先広の傾向である. 足部前方は分厚く, 足首より後方が長いことがわかった. これらは, 第1指や外果下方に不適合が多いことと関連があり, 履き心地の不満を裏付けるものである. 靴設計に高齢者の形態特性を反映することで適合性の向上が期待できる.
著者
河内 まき子 山崎 信寿
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.100, no.1, pp.101-118, 1992 (Released:2008-02-26)
参考文献数
13
被引用文献数
1 3

足の大きさに伴うプロポーションの変化を明らかにし,靴型のサイズ展開における靴型各部の変化量が適正であるか否かを評価するために,日本人成人男子528名,女子500名の右足の測定データのアロメトリー分析および市販靴24種の靴型形状との比較を行なった。足長の変化に伴い,幅径,高径,周長項目は一般に劣成長を,長径項目は等成長を示すため,足長が大きいほど足は相対的に細身となる。また,足長が一定の場合,足囲の変化に伴って外果端高以外の高径項目および女子の足幅が等成長を示し,幅径と周長項目は劣成長を示す。踵部の幅はボール部の幅ほど急速に増加しないため,足囲が大きいほど足が相対的に前広がりになる。サイズ展開における靴型の変化は,大きさの変化に伴うこのような足の形状変化と一致しない部分が多い。さらに,足と靴との適合性を向上させるうえでの問題点を,足の寸法•形状の時代変化およびサイズ展開技術の観点から検討した。