著者
倉林 準 持丸 正明 河内 まき子
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.29-36, 2003 (Released:2004-02-27)
参考文献数
9
被引用文献数
80 36

関節中心位置の推定方法は, 特に検証をされないまま用いられてきた. 本研究では, 日本人健常成人男性43名の骨盤部MR画像を用いて, 臨床歩行分析研究会, Davis, Vaughanによる股関節中心位置の推定方法について検証を行った. 推定誤差は股関節中心位置のMR画像からの実測値と推定値の距離で定義した. オリジナルの方法の推定誤差平均値は, 上記3手法で, 順に, 17.1mm, 13.4mm, 32.0mmであった. オリジナルの方法論の数式を変えずに, パラメータのみを日本人男性用に最適化し, 実測可能なパラメータのみで実用的に構成した修正版での推定誤差平均値は, 順に9.9mm, 24.8mm, 19.8mmであった.
著者
河内 まき子 持丸 正明
出版者
一般社団法人 日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.114, no.1, pp.45-53, 2006 (Released:2006-06-23)
参考文献数
15
被引用文献数
2 2

日本人の顔面平坦度が20世紀において変化したかどうかを明らかにするため,生年が約80年異なる男性二群(1894年群,1974年群)の顔面石膏模型を比較した。石膏採取時の年齢は大差ないが(平均年齢29.5歳,26.1歳),1894年群はデスマスク(N = 52),1974年群は座位で採取したライフマスク(N = 56)である。石膏模型上に11の計測点を定義し,それらの3次元座標値をデジタイザで取得し,顔面平坦度にかかわる8項目および4示数を算出した。両群の差をt-検定で検定した。1894年群のうち11体については,頭骨についても10の計測点座標値を取得し,6項目および3示数を算出した。頭骨からの対応する項目との間に有意な相関が系統的に認められた石膏からの項目は,眼窩内側間幅(mf間幅),鼻根―眼窩内側深さ(セリオン―mf深さ),鼻根―眼窩内側扁平示数(セリオン―mf扁平示数)だけであった。鼻根から眼窩内側,眼窩外側,眼裂外側までの深さと扁平示数に有意な群間差が認められ,いずれにおいても1974年群の方が深さが大きく,扁平示数が大きい,すなわち扁平傾向が小さかった。骨格と関連が認められた鼻根―眼窩内側深さと鼻根―眼窩内側扁平示数について,二群の差の原因として計測誤差,栄養状態の違いによる軟部の厚みの差の効果,石膏採取時の姿勢の違いについて検討した。これらだけでは群間差を説明できないことから,過去80年間に鼻根部形態は変化し,立体的になったと考えられる。
著者
大塚 美智子 森 由紀 持丸 正明 渡邊 敬子 小山 京子 石垣 理子 雙田 珠己 田中 早苗 中村 邦子 土肥 麻佐子 原田 妙子 小柴 朋子 滝澤 愛 布施谷 節子 鳴海 多恵子 高部 啓子 河内 真紀子 増田 智恵 川端 博子 薩本 弥生 猪又 美栄子 川上 梅 渡部 旬子 倉 みゆき 丸田 直美 十一 玲子 伊藤 海織 角田 千枝 森下 あおい 上西 朋子 武本 歩未
出版者
日本女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

2014~2016年に関東、関西、中部、中国、九州地区で3200名、約50項目の日本人成人男女の人体計測を行い、マルチン計測による3200名と三次元計測による2000名のデータベースを構築した。これにより、アパレル市場の活性化と国際化が期待でき、JIS改訂の根拠データが得られた。人体計測データの分析の結果、現代日本人は20年前に比べ身長が高く、四肢が長いことが明らかになった。また、若年男子のヒップの減少と中高年成人女子におけるBMIの減少が顕著であった。
著者
渡邊 敬子 森下 あおい 大塚 美智子 諸岡 晴美 丸田 直美 石垣 理子 持丸 正明 小山 京子
出版者
京都女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

3Dでスキャンした人体形状や類型化されたグループの平均形状のデータをそのままボディとして用いるのではなく、ドレスボディのようにゆとりの入った形状に変換したものを用いると、より効率良くパターン設計ができると考えられる。そこで、a)ヌードボディとドレスボディを3D計測し、断面を比較するb)ボディ制作者・ボディメーカー等の聞き取りを行うc)研究室所蔵の体表の伸縮データを再検討するなどして、ゆとりを入れる場所と量について検討した。この結果を参考に、LookStailorXで既存のヌードボディに対して、適量のゆとりを入れたガーメントを作成した。このヌードボディとガーメントデータの差分を利用して、HBM-Rugleでモーフィングによる変形を試みた。腕付根位の周囲長で2cm、5cm、8cmのゆとりが入るように変換したボディを基に、タイトフィットのパターンを作成し、厚地のトワルで実験着を作成した。モーフィングで変換した断面図を観察すると、意図した箇所にゆとりを付与できていた。また、製作した実験着の外観には不自然なつれや余り皺はなく、衣服圧の検討からは、ゆとり2cmでも日常の小さな動作には対応できることが分かった。さらに、体格が違う男性や子どもにも同様にモーフィングを行ったところ、意図した箇所にゆとりを付与できており、汎用性があることが予想された。一方、昨年度までは、体型の分類のため、体幹部と下肢部に分けて相同モデルを作成し、解析してきた。全身のモデルは腋下や股下の欠損があり、計測器に付属したソフトの補間では、この部位が実際の位置よりも下方でつながれ、寸法算出や着装シミュレーションの際に問題が生じていた。そこで、ジェネリックモデルやランドマーク位置を工夫することで、これらの位置が正しく表現できる相同モデル作成が可能にした。この方法を用いて、今までに計測したデータをモデル化している。
著者
河内 まき子 持丸 正明
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
Anthropological science. Japanese series : journal of the Anthropological Society of Nippon : 人類學雜誌 (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.114, no.1, pp.45-53, 2006-06-01
被引用文献数
2

日本人の顔面平坦度が20世紀において変化したかどうかを明らかにするため,生年が約80年異なる男性二群(1894年群,1974年群)の顔面石膏模型を比較した。石膏採取時の年齢は大差ないが(平均年齢29.5歳,26.1歳),1894年群はデスマスク(N = 52),1974年群は座位で採取したライフマスク(N = 56)である。石膏模型上に11の計測点を定義し,それらの3次元座標値をデジタイザで取得し,顔面平坦度にかかわる8項目および4示数を算出した。両群の差をt-検定で検定した。1894年群のうち11体については,頭骨についても10の計測点座標値を取得し,6項目および3示数を算出した。頭骨からの対応する項目との間に有意な相関が系統的に認められた石膏からの項目は,眼窩内側間幅(mf間幅),鼻根―眼窩内側深さ(セリオン―mf深さ),鼻根―眼窩内側扁平示数(セリオン―mf扁平示数)だけであった。鼻根から眼窩内側,眼窩外側,眼裂外側までの深さと扁平示数に有意な群間差が認められ,いずれにおいても1974年群の方が深さが大きく,扁平示数が大きい,すなわち扁平傾向が小さかった。骨格と関連が認められた鼻根―眼窩内側深さと鼻根―眼窩内側扁平示数について,二群の差の原因として計測誤差,栄養状態の違いによる軟部の厚みの差の効果,石膏採取時の姿勢の違いについて検討した。これらだけでは群間差を説明できないことから,過去80年間に鼻根部形態は変化し,立体的になったと考えられる。<br>
著者
石垣 司 本村 陽一 土肥 麻佐子 持丸 正明
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.23, 2009

生活者の視点に立ったサービス生産性向上の重要性が叫ばれている。本発表では商品購買者を対象に実施したアンケートデータを用いて、購買商品の認知構造を確率的な因果関係によりモデル化し、再購買の可能性が高い顧客の属性を探る。それにより顧客に対応した効果的な販売促進が可能な技術の枠組みを示す。また、作成したモデルの妥当性はクロスバリデーションによる判別率により定量的に評価できる。
著者
矢原 弘樹 高橋 瑛逸 福井 幸男 西原 清一 持丸 正明 河内 まき子
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.44-52, 2007 (Released:2008-07-30)
参考文献数
20

近年,3次元計測技術の発展に伴って,3次元身体モデルを利用した身体に適合する製品設計が注目されてきている.しかし,3次元スキャナ等で計測された身体の表面形状データは座標系が定められていない.そこで,従来は座標系を定めるために必要な身体の部位に,3次元スキャナで計測可能なマーカーを専門家があらかじめ貼る事で解決していた.しかし,マーカーを貼ることは手間や顧客への心理的負担がかかるという問題があった.本稿では,足部モデルの座標系を定義するのに必要な身体の部位MT(脛側中足点)とMF(腓側中足点)の位置を,すでにそれらの位置が定められているサンプルモデルセットをあらかじめ用意しておき,それらの統計的な情報を基にマーカーの位置情報無しの表面形状データのみの足部モデルのマーカーの位置を推定することで,座標系を設定する手法を提案する.そして,FFD法を用いた身体モデル生成法を用いることで,推定されたMT,MFの位置推定の精度向上を試みる.
著者
矢原 弘樹 水野 一徳 福井 幸男 西原 清一 持丸 正明 河内 まき子
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.168-175, 2005 (Released:2008-07-30)
参考文献数
19
被引用文献数
4 4

本稿では3次元スキャナ等で計測された身体形状データから,製品設計に用いるための解剖学的特徴点情報を持った身体モデルを自動生成する手法について述べる.解剖学的特徴点は3Dスキャナによって得られた身体の表面形状から自動抽出することは非常に困難である.我々は以前の報告で,FFD法を用いて解剖学的特徴点のテンプレートを推定対象の形状に変形させることで,解剖学的特徴点位置を自動推定する手法を提案した.しかし,この手法で推定された解剖学的特徴点は,まだ実用的な精度で推定できていなかった.そこで,この手法における誤差の要因を分析し,その対策をすることで誤差を減少させることを試みた.足部モデルの中でも特に表面形状に解剖学的特徴が現れにくく,自動推定が難しいくるぶしの解剖学的特徴点の推定に注目する.
著者
遠藤 維 金井 理 宮田 なつき 河内 まき子 持丸 正明
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.548-553, 2009-04-05 (Released:2011-02-07)
参考文献数
9
被引用文献数
2 3

The purpose of this research is to develop a virtual ergonomic assessment system that evaluates grasp stability and ease of grasping of products such as digital cameras without real subjects and physical mockups by integrating 3D digital hand models with the 3D CAD models of the products. In this paper, we propose “ease of grasping” as a new index for the assessment. This index is calculated from the “EOG-map”, in which example grasp postures of real subjects are plotted as principal component scores in low dimensional space. We also propose an optimization-based correction method for an inappropriate finger posture by using the EOG-map.
著者
土肥 麻佐子 持丸 正明 河内 まき子
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.228-237, 2001
被引用文献数
6

高齢者への靴の適合性の向上には, 高齢者独自の足部形態特性を把握することが重要と考え, 形態特性と靴の履き心地との関連を検討した. 高齢者女子50名 (60~81歳) を対象にアンケート調査を実施し, 靴に対する意識および靴の不適合部位を調べた. 次に, 高齢者90名 (60~81歳) と若年者148名 (18~27歳) の足長・足囲分布の世代差を検討した. さらに, 高齢者50名 (60~81歳) と若年者166名 (18~27歳) の足長サイズ別形態特性の世代差について, 寸法・角度等20項目の計測値と2示数および3次元形態特徴の推定得点より検討した. この結果, 高齢者の足は同一足長の若年者より足囲が大きく (JIS足囲サイズのEEEを中心に分布), つま先形状が第1指がまっすぐ伸び第5指が内反した先広の傾向である. 足部前方は分厚く, 足首より後方が長いことがわかった. これらは, 第1指や外果下方に不適合が多いことと関連があり, 履き心地の不満を裏付けるものである. 靴設計に高齢者の形態特性を反映することで適合性の向上が期待できる.
著者
森島 繁生 稲見 昌彦 野嶋 琢也 暦本 純一 小池 英樹 持丸 正明
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

従来のVR/AR等,Cyber空間に関連する最先端研究においては, 空間の拡張・歪曲が主な研究課題となっており, 情報空間の時間軸自体を歪曲させる研究はあまり例がなかった. 空間だけでなく時間をも主観的に違和感なく歪曲させた現実歪曲時空間内での経験や訓練がPhysical世界での人の行動・知覚に与える影響を調査することが本研究課題である. 具体的な研究対象として,スポーツ,語学訓練等を例に取りあげ,具体的な現実歪曲時空間構成技術の確立および評価システム構築を行い,時間を歪曲されたCyber世界での経験や訓練の成果が,Physical世界にフィードバックされる効果を検証することが研究目的である.
著者
持丸 正明 稲見 昌彦 野嶋 琢也 暦本 純一 杉浦 裕太 小池 英樹 村井 昭彦
出版者
国立研究開発法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は,幅広い身体特性の人が一緒にスポーツ参加できるシステム構築を目標として,環境身体ダイナミクスを解明して運動・感覚能力を拡張する技術を開発した.そして,開発した要素技術を組み合わせ,オーグメンテッド・スポーツ“超人ペナルティキック”,“LunaGBall”を開発,イベント等で発表した.トレーニングなしに経験や技量にかかわらず運動・感覚能力を拡張することで競技を伯仲させ,高齢者を代表とする体力的・技術的弱者の幅広いグループスポーツ参加の促進を実現し,健康な社会の実現に寄与する.
著者
土肥 麻佐子 持丸 正明 河内 まき子
出版者
日本感性工学会
雑誌
感性工学研究論文集 (ISSN:13461958)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.53-58, 2006 (Released:2010-06-28)
参考文献数
9
被引用文献数
1

Attitudes involved in shoe selection and the present situation of shoe comfort were investigated using the questionnaire method. A questionnaire survey was conducted in 2002 of 181 female university students (18-20 years). Questionnaire items asked about 3 items: 1) shoes usually worn; 2) shoes on the market; and 3) troubles noted when wearing own shoes. Specific questions were identical to those used in a questionnaire survey for elderly women conducted in 1997. Foot length and foot girth were measured at the same time for 54 of these 181 subjects. The mean foot girth of young women was significantly smaller than that of elderly women, and the suitable foot girth size was D or narrower in 52% of subjects. Many young women wore heeled shoes with ball girth larger than their foot girths. Young women experienced difficulties with shoe comfort mainly in the ball and plantar arch, which are different from those experienced by elderly women. One of the reasons for shoe discomfort in young women may be feet sliding forward on the shank curve of shoes due to wearing shoes with ball girth too large for their feet. To improve shoe comfort, consumers need to recognize their own foot girth size, and select shoes of suitable size. Since shoes with narrower than average foot girth size are few at present, shoe comfort would be improved by increasing the supply of narrower shoes on the market.