著者
木内 哲也
出版者
The Japanese Society for Medical Mycology
雑誌
日本医真菌学会雑誌 = Japanese journal of medical mycology (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.289-292, 2006-10-31

我が国でも実質臓器移植における感染症が議論される機会が増えているが, 腎臓移植以外の領域での臨床経験期間はまだ短く, 生体臓器移植の経験も肝臓を除くと極めて限られている. 臓器移植患者における深在性真菌症のリスクは, 移植される臓器の種類や免疫抑制の強さばかりでなく, 移植時の臓器不全に伴う免疫不全状態や感染歴に大きく依存しており, 手術因子や術後の侵襲因子と併せて総合的に, かつ経時的にリスクを評価する必要がある. こうしたリスク評価の上に立った予防処置に加え, さらに臨床症状・画像情報・監視培養・血清学的指標を定量化して先制治療が開始されることが望ましい. 臓器毒性が低く治療効果の高い新しい抗真菌薬の出現に伴って治療の概念も変化していく可能性がある一方で, 安易な印象的先制治療開始の傾向もみられている. 欧米で得られた知見をそのまま我が国の臓器移植医療に適用できるかどうかはまだ疑問であり, 我が国における診断・疫学・危険因子, さらに抗真菌薬の予防的・先制治療的使用の基準を求めるためには, 広範な情報の集積が必要である.

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