著者
白石 正 仲川 義人
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.165-169, 2007-09-25
被引用文献数
4

輸液内への細菌混入は, 薬剤混合時やライン交換時などで生じ, カテーテル関連血流感染の原因 となることが知られている. そこで, 輸液中に細菌が混入した場合の細菌の増殖動向を検討した. 輸液は電解質輸液2種類, アミノ酸輸液3種類, 脂肪乳剤配合アミノ酸輸液1種類および50%ブドウ糖液1種類の合計7種類を使用した. 被験菌は<I>E. coil, S. marcescens, P. aeruginosa, S. aureus</I>, および<I>S. epidermidis</I>を使用し, これらの細菌を一定菌量に調整した菌液をそれぞれ各輸 液に添加し, 6, 12, 24時間後にサンプリングを行い, SCD寒天培地に接種し, 35℃24時間培養 後コロニー数を計測した. この結果, 脂肪乳剤配合アミノ酸輸液中では, いずれの被験菌も経時的に増殖が認められたが, 50%ブドウ糖液中では6時間以降, 増殖は認められず, pHおよび浸透圧が関与しているものと考えられた. その他の輸液中では, 菌種により異なり<I>P. aeyuginosa, S. auyeus</I>, および<I>S. epidermidis</I>では48時間後に増殖は認められず, E. coil, S. marcescensでは増殖が認められた. このことから, 輸液の組成, pH, 浸透圧に加え, 細菌種の性質も関与すると考えられた.

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