著者
加世田 雄時朗 野澤 謙
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.996-1002, 1996-11-25
参考文献数
33

野生状態で生息している御崎馬に関する16年間の行動調査と父子判定の結果を基に,12頭の種雄馬とその51頭の娘を対象に,父娘交配の発生状況とその回避機構について分析した.12頭の種雄馬とその51頭の娘が共に繁殖可能であった176回の繁殖シーズンのうち,82回は両者が互いに異なった地域で過ごした.すなわち,雌子馬が繁殖前に生来地を離れて他の地域へ移出し,繁殖可能なシーズンに父親と異なった地域で過ごすことによって,父親との接触が物理的に回避され,その結果として父娘間の交配が回避された.種雄馬とその娘が同じ行動域で過ごした繁殖シーズンは94回であったが,両者が安定した配偶関係を持った事例は1例も観察されなかった.すなわち,本研究では,雌子馬が性成熟以前に生来群を離れるいわゆる分散によって,父親と娘の間の配偶関係の形成が回避された.父子関係が確定した124例うち2組の父と娘の間に2頭の子馬が生まれた.この2例とも娘は父親とは別の種雄馬の群で生まれ育って,性成熟後に父親とハーレム群を形成した.一方生来群を一度離れた雌子馬が,性成熟後に再び生来群に戻りその種雄馬(幼児期に一緒に過ごした種雄馬)と安定な配偶関係を持った例は1例もなかった.この結果は,野生馬や半野生馬で報告されている「幼児期に同じ群で過ごした経験によって,近親交配が回避されたり,性行動が減少する」という仮説を支持している.

言及状況

外部データベース (DOI)

Twitter (1 users, 1 posts, 0 favorites)

@tos CiNii 論文 -  御崎馬における父娘交配とその回避機構 https://t.co/ZowjjDQXFt

収集済み URL リスト