著者
菊地 慶太 風間 聡
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.277-285, 2009-07-05
被引用文献数
1

GPSを用いて2006年から2007年の冬季から春季にかけて,山岳域(宮城蔵王)における積雪深分布を観測した.山間部において積雪期から融雪期にかけて標高-積雪深分布データを得ることはこれまでほとんどなされておらず,これらのデータは,貴重である.観測には干渉測位の一つである連続キネマティック測位を用いた.この測位方法は任意点のデータを一定時間間隔で取得できるのが特徴である.位置データ補間には最近隣法,2点幾何補間法を用いた.そしてGPS測位および補間結果から地表面標高に対する詳細な積雪深分布データを得ることが出来た.測定誤差には,姿勢誤差,計算誤差,実地誤差,観測誤差がある.それらの合計は,最近隣法が0.25 m~0.41 m,2点幾何補間法が0.25 m~0.40 mである.測深棒とGPS測位による積雪深の比較では2点幾何補間法の場合,両者の差は0.34m~1.10 m,最近隣法の場合は0.12 m~0.30 mとなった.最近隣法の場合,積雪深が3 m以上であれば相対誤差は10 %以下であり良好な値が得られた.つまり雪の多い場所,特に山間部において最近隣法を用いたGPS観測は有効な手段である.

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