著者
泉 宏和 風間 聡 沢本 正樹
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.18, pp.67, 2005

日本全域における積雪水量,積雪深,全層積雪密度分布を日単位で推定した.使用データは気象データ,衛星データ,標高データである.積雪水量の推定には降雪モデルと融雪モデルから構成されるSWEモデルを用いた.毎日の降雪量の推定はAMeDASデータを用い,重みつき距離平均法により補間した.また,融雪量の推定はdegree-day法を用い,融雪係数を決定することで行った.融雪係数の決定には,JAIDAS画像から積雪の有無を抽出した積雪マップを用いた.さらに,積雪深の推定には雪自身の重さによる圧密を考慮したモデルを用いた.その結果,積雪が平年並みの年における積雪深の推定精度は良かったが,多雪年における積雪深の推定精度に課題が残った.そして,AMeDASの日最深積雪データとの検証から,日本全域という広域における積雪特性を把握し,降雪_-_融雪過程を概ね推定することができたといえる.
著者
猪股 亮介 小森 大輔 風間 聡 峠 嘉哉
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.31, 2018

都市が気象に及ぼす影響の1つとして降水の変化が挙げられており,都市部において,周辺地域と降水現象が異なる事が指摘されてきた.藤部らを初めとした既往研究において,統計的なアプローチから都市部における降水現象の解析が行われてきたが,それらは日本国内において約1/17km(個/km2)に整備されたアメダス定点観測所において観測されたデータを使用したため,空間的な代表性に課題が残る.そこで本研究では,大阪市を対象に,雨量レーダによる面的観測とアメダス定点観測を合成した,23年間(1993~2015年)という長期間のレーダアメダス解析降水量を用い,都市部と周辺地域における降水の空間偏差とその経年変化を統計的なアプローチから明らかにする事を研究目的とした.本研究における対象地域を日本三大都市圏の1つである大阪府大阪市の都市部とその周辺地域とした.また本研究における降水解析に用いる降水指標として,降水量(1時間降水量(mm)),降水頻度(1時間降水量≧1mmの時間数),本降りの雨の頻度(1時間降水量≧5mmの時間数)の3つを定義した.その結果次の様な知見が得られた.1)都市部の西部において,降水量・降水頻度・本降りの雨の頻度が,特に正午~午後の時間帯において周辺地域より大きかった.2)都市部の北西部において降水量・降水頻度が周辺地域と比較して大きくなる傾向が経年的に強化された.3) 都市部の南西部において降水量・降水頻度が周辺地域と比較して大きかった傾向が,経年的に弱められた.都市の西側に湾が存在する地域において,偏西風の風上側である西側の降水量・降水頻度・本降りの雨の頻度が大きくなる傾向は本研究において得られた新たな知見である.また,都市の北西部において午後の時間帯に降水頻度の空間偏差が大きくなる傾向が存在することは,本研究で空間代表性の高いレーダアメダス解析降水量データを用いる事で明らかになった新しい知見である.また,都市部の異なる部分において周辺地域よりも降水量が大きい傾向,小さい傾向が経年的に拡大される事は本研究において都市部を5kmの解像度で解析した事により得られた新たな知見である.この様に,本研究における解析で都市が気象に及ぼす影響が都市内部において異なる事が明らかになった.
著者
川守田 智 安西 聡 風間 聡
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.209-220, 2017-07-05 (Released:2017-09-01)
参考文献数
27
被引用文献数
1

ソーシャルメディアを用いて河川関心度の定量評価を行った.Instagramより,川に関連するハッシュタグ(例:#川,#広瀬川)を用いて,データを収集した.テキスト解析,投稿数解析,画像解析を実施し,さらに#川の名前の投稿数をその流域人口によって除した値や川や山について比較した.その結果,次の5つの新たな知見が得られた.1)民間ビジネスやイベントが川の関心を高めている.2)空間利用実態調査の整合性は取れなかった.3)観光資源に恵まれた川は平均より8倍から50倍大きく.観光が河川の関心に大きく貢献していた.4)川において,7月と8月に投稿数が集中していた.また,特定の河川名がみられなく,川の利用者はあまり特定の川を意識せずに利用していた.5)水深の浅い場所において,私服で入れるようなカジュアルな水遊びが人気であった.
著者
風間 聡 So KAZAMA 土木学会緊急災害調査部門派遣調査団:東北大学工学研究科土木工学 Graduate School of Engineering Tohoku University
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 = Journal of Japan Society for Natural Disaster Science (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.493-500, 2001-02-28
参考文献数
5
被引用文献数
1

The lower Mekong River flooded from July to December in 2000. Especially, Cambodia and Vietnam were serious on inundation. The numbers of victims were 347 in Cambodia and 448 in Vietnam. The amounts of damage were 80 million and 350 million US dollars in Cambodia and in Vietnam, respectively. Water level reached to a record-breaking height at PhnonPenh. The main reasons of this flood were that heavy rainfall began earlier and two tropical cyclones approached to the catchment area. Other reasons were that some portions of dikes were changed to bridge to protect roads, Colmatage worked as intake from the main river and sedimentation deposited in channels and canals. Governments and international organizations are designing and planning some projects for flood control.
著者
泉 典洋 渦岡 良介 風間 聡
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

表面流によって侵食と堆積を受ける平坦な斜面上に,規則的な間隔で発生する水路群(ガリ群)の形成理論を提案するとともに,理論を任意形状の斜面に拡張し,形状に関わらず水深の1000倍程度の間隔で水路群が形成されることを示した.また水路分岐の物理モデルを提案し,周囲から集まる流量が減少すると,水路頭部は擾乱に対して不安定となり分岐することを明らかにした.この結果は宗谷丘陵における現地観測によって裏付けられ,水路形成には地下水や斜面崩落も重要であることが判った.浸透流によって斜面下流端に発生する水路群の形成過程を明らかにするために模型実験を行い,水路間隔を決定する要因は流量および斜面勾配,浸透層厚であり,それらが大きくなると水路間隔も大きくなることを明らかにした.地震で発生した斜面崩壊について現地調査および室内土質試験を実施し,地すべり発生時の地盤状況,崩壊土の物理的・力学的特性が明らかとなった.また,流体解析を用いて崩壊土砂の移動量を再現した.斜面のような不飽和地盤における3相系(土骨格・間隙水・間隙空気)の動的・大変形挙動を解析的に明らかにするために,多孔質・有限変形理論に基づいた有限要素解析手法を提案し,不飽和地盤の自重・圧密・浸透・動的解析を行い,不飽和地盤である斜面の外力による崩壊過程を明らかにした.Dev確率分布を用いて求めた極値降雨再現期間の空間分布から東北地方を例に斜面災害発生確率の空間分布を求めた.さらに土砂災害実績を利用して融雪に起因する土砂災害発生確率モデルおよびリスクモデルを構築するとともに結果を分布図として示し,実績と良好に整合することを示した.また多雪年および小雪年,温暖化の場合について,時系列的な融雪変化による土砂災害のリスク変化を示した.さらに,土砂崩壊発生確率モデルと経済損失額モデルを用いて,土砂災害リスクの地域分布を明らかにした.
著者
中村 哲 翠川 裕 波部 重久 松田 肇 翠川 薫 渡部 徹 中津 雅美 二瓶 直子 鈴木 琴子 黒倉 壽 風間 聡 三好 美紀 桐木 雅史
出版者
独立行政法人国立国際医療研究センター
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

ラオス国との共研究の主対象となったラオスの消化管寄生虫感染症に関して、現地調査により山岳部と平地とで寄生虫相が異なることを示唆した。特に淡水魚類の生食を介して感染するタイ肝吸虫類の感染が都市周辺域において顕著に高いことを示した。さらに、山岳地居住民の感染率と健康調査データの解析からリスク因子として、年齢や識字率、集落での衛生的な飲み水の利用割合、民族の比率を見出した。そして、これらの因子による重回帰で得られるリスクマップを含めた、地区内または広域でのリスク管理手法を示した。
著者
菊地 慶太 風間 聡
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.277-285, 2009-07-05
被引用文献数
1

GPSを用いて2006年から2007年の冬季から春季にかけて,山岳域(宮城蔵王)における積雪深分布を観測した.山間部において積雪期から融雪期にかけて標高-積雪深分布データを得ることはこれまでほとんどなされておらず,これらのデータは,貴重である.観測には干渉測位の一つである連続キネマティック測位を用いた.この測位方法は任意点のデータを一定時間間隔で取得できるのが特徴である.位置データ補間には最近隣法,2点幾何補間法を用いた.そしてGPS測位および補間結果から地表面標高に対する詳細な積雪深分布データを得ることが出来た.測定誤差には,姿勢誤差,計算誤差,実地誤差,観測誤差がある.それらの合計は,最近隣法が0.25 m~0.41 m,2点幾何補間法が0.25 m~0.40 mである.測深棒とGPS測位による積雪深の比較では2点幾何補間法の場合,両者の差は0.34m~1.10 m,最近隣法の場合は0.12 m~0.30 mとなった.最近隣法の場合,積雪深が3 m以上であれば相対誤差は10 %以下であり良好な値が得られた.つまり雪の多い場所,特に山間部において最近隣法を用いたGPS観測は有効な手段である.