著者
近藤 純正
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.336-343, 1993-12-10 (Released:2009-10-22)
参考文献数
6
被引用文献数
2 4

降雨に伴う表層土壌の含水率の鉛直分布の時間変化を液体水輸送の数値計算から求めた.この計算では,降水量と降水継続時間との間の統計的経験式を用いた.「砂」「ローム」「粘土」についての結果は降水量ごとに分類して表に示してある.このデータは降雨後の土壌面蒸発の計算を行なうときの初期条件として利用できる.
著者
浅枝 隆 藤野 毅
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.3-7, 1992-12-01 (Released:2009-07-23)
参考文献数
3
被引用文献数
2 2

夏期においてアスファルトとコンクリート舗装の熱収支を調べるために野外観測を行った。その結果, アスファルトの表面温度は57℃まで達し, 表面から放出される赤外放射量も670W/m2を記録した。これは, その時の下向き大気放射量450W/m2と比較すると実質上向きに220W/m2も放出されることになる。また, 顕熱量も昼間は300W/m2以上になり, これらは都市域の温暖化を考える際に大きな熱源となるものといえる.一方, コンクリートではアルベドが大きいために表面温度は高くならず, 同じ舗装面でもむしろアスファルトよりも土に近い傾向を示した.それぞれの地表面における熱収支では, 日中アルベドがほぼ等しいアスファルトと土についても, 熱伝導率・熱容量などの物性の違いや水分蒸発の有無による影響を受け, 大きく異なった特性を示した.さらに顕熱量の算定に当たっては, アスファルトのように表面が非常に高温になり, 風速が小さいときにはバルク式だけでは十分に見積もることができず, 対流による熱輸送を考慮して見積もる必要があることがわかった。さらに, それぞれの地表面での正味放射フラックスと地中熱フラックスの時間的な関係をループの形, 大きさで表し, それぞれの蓄熱特性の違いを特徴的に表現することができた。このように表すことより, その土地の熱的特性を知ることができる.
著者
Junsei KONDO Makoto NAKAZONO Tsutomu WATANABE Tsuneo KUWAGATA
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
JOURNAL OF JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.8-18, 1992-12-01 (Released:2009-07-23)
参考文献数
10
被引用文献数
18 24

全国の気象官署のデータを用いて熱収支的な方法によって, 森林における蒸発散量 (無降水日の蒸散量と降水日の遮断蒸発量の和) を見積もった.年蒸発散量は北日本では600-700mmy-1, 南日本では800-900mmy-1程度であり, 平衡蒸発量と比較的高い相関がある.また水面蒸発量より1.1-1.5倍も大きいことがわかった.
著者
Kensaku AMANO
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
JOURNAL OF JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.34-38, 2015-01-05 (Released:2015-07-03)
参考文献数
20
被引用文献数
1

「国際水路の非航行的利用に関する条約」が,国連総会での採択から17年を経て,2014年8月に発効した.この条約は国境をまたぐ河川,湖沼,地下水を含む淡水資源の開発や管理に関する国際基準を示したもので,国際社会に大きな影響を及ぼすものと考えられる.特に,条文上最も重要視される「衡平利用原則」については,水資源をめぐる当事国間で紛争があった場合の一つの解決基準として用いられると期待され,事実,発効前にもかかわらず,これまで国際司法裁判所の判決でも引用されてきた.条約は当事国のみを規律するのが原則であるが,締約国以外にも当該条文が適用できるか,いわゆる国際慣習法化されているかは,条約発効後の国家実行や裁判例を待つ必要があろう.
著者
ムルング デオグラティアス 椎葉 充晴 市川 温
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.15, no.6, pp.555-568, 2002
被引用文献数
3

降雨遮断に対する三種類のモデル(Deardorffのべき関数式を用いたRutterのモデル,Deardorffのモデル,修正近藤モデル)に気象外力を与えて一年間のシミュレーションを行い,その結果を比較した.それぞれの降雨遮断のモデルには,ペンマンーモンティース式を組み合わせた.修正近藤モデルは,水収支を構成する種々の要素を考慮したものであり,降雨イベント間の蒸発散機構も取り入れられている.この蒸発散の計算には,Deardorffのべき関数式,キャノピーでの貯留量の変化,キャノピーからの流出が考慮されている.ペンマンーモンティース式は蒸発散量を決定するうえで核となる部分である.この式は日本あるいは試験流域で広く適用されており,本研究においても,降雨遮断モデルの比較の基礎として用いることにした.本研究では有効降雨に着目していることから,水収支のコントロールボリュームはキャノピーの上端から地表面までの間としており,水収支の計算には土壌水分量や蒸散量は含まれていない.モデルの計算結果から,森林キャノピーからの蒸発量は全降水量の22%から29%となることが明らかとなり,また,モデル間の差異は冬季の計算で大きくなることも明らかとなった.冬季は降水量が少なく,キャノピーの貯留量や降水量がポテンシャル蒸発量を満たさなくなるために,モデル間の違いがはっきり現れたものと考えられる.年間の有効降水量は総降水量の71%から78%,年間の蒸散量は727mmから733mm程度と算定された.また,修正近藤モデルにべき関数式を適用したところ,蒸散量の値には大きな影響が,蒸発量の値には若干の影響が見られた.修正近藤モデルによる計算結果は他の二つのモデルの結果とほぼ同等であり,水文モデルに対する時間単位の入力を算出するために使用できると考えられる.モデル間の蒸発散量の違いは,主として樹冠通過率と貯留量流出量関係の定式化の違いから生じている.
著者
近藤 純正 桑形 恒男
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.13-27, 1992
被引用文献数
8

全国66地点の気象官署のデータを用いて, 放射量および浅い水面からの蒸発量の季節的地理的分布を計算した.年蒸発量は緯度が高くなるほど減少し, 北日本・北陸地方では500mmy<SUP>-1</SUP>前後, 関東以南では700mmy<SUP>-1</SUP>前後となった.これは年降水量の30~50%にあたる。<BR>一方, 日本各地における年平均日射量はほぼ130~160Wm<SUP>-2</SUP>, 有効長波射出量は50~70Wm<SUP>-2</SUP>の間に分布している.
著者
近藤 純正
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.223-229, 1993-09-10 (Released:2009-10-22)
参考文献数
8

裸地面蒸発の計算モデルを考えた.土壌は,厚さ0.02m, 0.04m, 0.08mの3層からなる.モデルでは各層内の小空隙で気化した水蒸気が土壌間隙を通って出てくることが考慮されている.
著者
橘 治国
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.254-267, 1993-09-10 (Released:2009-10-22)
参考文献数
10
被引用文献数
5 1

石狩川は, 1975年8月23日に北海道に上陸した台風6号がもたらした豪雨によって増水し,下流部においては溢水した.筆者は,この洪水期間に石狩川水系内の6地点で水質調査を行い,増水時の水質特性および水質成分の流出機構について考察した.結果は以下のように要約できる.(1)懸濁態成分濃度は流量の増加とともに高くなり,最大値は空知川豊橋でSS4,500mg/1, COD (Cr) SSで266mg/1を観測した.主要無機成分の濃度は,流量の増加とともに減少したが,汚濁関連成分(BOD,硝酸イオンなど)は増水時に増加するなど特異的な変化を示した.(2)増水時においても主要無機イオンの構成には大きな変化はなかった.しかし懸濁物質はシルト・粘土成分の割合が,また有機物質は生物難分解性の割合が高くなるなどの変化が認められた.(3)洪水時の水質成分の流出特性から,水質成分の供給源を無制限供給型(懸濁成分),一定量供給型(主要無機成分),環境一時蓄積型(BOD,溶解性有機物質,硝酸イオン等)に分類できた.(4)洪水期間の水質成分流出負荷量を年間総流出負荷量と比較し,懸濁成分の割合が他の成分より著しく高く,SSでは82.5%に達することを明らかにした.
著者
近藤 純正
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.184-196, 1995-03-05 (Released:2009-10-22)
参考文献数
11
被引用文献数
9 8

河川の水温を予測する計算モデルを示した.このモデルでは,水面・大気間の熱交換および河床の地中伝導熱が考慮されている.計算に必要な気象データは入力放射量,最高・最低気温,日平均比湿,日平均風速である.河川のパラメータは水深,流速,源流からの距離である. 日平均水温は,水温のレスポンス時間τ0と源流からの経過時間τを用いた指数関数で表される.τ0は水深に比例する.十分な経過時間後,日平均水温は平衡水温T*に漸近する.日変化の振幅は源流からの距離と共に増加し,平衡時の振幅δT*に漸近する.
著者
立川 康人 宝 馨 田中 賢治 水主 崇之 市川 温 椎葉 充晴
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.139-151, 2002-03-05 (Released:2009-10-22)
参考文献数
26
被引用文献数
2 2

筆者らがこれまでに開発してきたマクログリッド型流出モデルを淮河流域に適用し,GAME強化観測期間(1998年5月1日~8月31日)の流量シミュレーションを行った.モデルへの入力データには田中らによって作成された毎時5分グリッドの水文データセットを用いた.このデータセットは,1998年の強化観測期間に取得された気象・水文観測データと鉛直一次元の陸面過程モデルSiBUCとを用いて作成されたものである.実測流量と計算流量とを比較したところ,下流域ほど計算流量は観測流量よりも小さく算定されることがわかった.この原因として,用いたデータセットの蒸発散量が過大評価されていること,ダムなどによる人為的な流水制御をモデルで考慮していないことなどが考えられるが,今後の検討を要する.また,河川流量の再現シミュレーションの過程で,河道流追跡モデルが大河川流域の河川流量を予測する上で果たす効果を示した.
著者
吉川 夏樹 有田 博之 三沢 眞一 宮津 進
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.271-279, 2011-09-05 (Released:2012-07-06)
参考文献数
19
被引用文献数
3 4

田んぼダムは,水田耕区の排水孔を装置化して落水量を安定的に抑制することによって,豪雨時における水田地帯からの流出量のピークを平滑化し,下流域の洪水を緩和するものである.田んぼダムの効果発現の特徴は,以下の5点に整理できる.①洪水調節量の操作可能性,②地区環境によって変化する効果,③効果の自律的発現,④発生しない生産効果,⑤制限される農家の危険回避行動.本稿では,新潟県村上市神林地区の取組事例をもとに,田んぼダムの公益的機能の評価を試みるとともに,技術上の特性と可能性を検討し,技術展開の方向性について提案した.神林地区の事例における評価額は,代替法を用いた試算では 39,000円/10 a/年であった.これは,水稲10 a当たり農家所得(24,000円/10 a/年)を大きく上回る.田んぼダムを適切に活用することによって多くの地域の洪水緩和に効果を発揮することが期待されるが,計画論的観点から戦略的な整備のあり方について提言した.
著者
小元 敬男 鱧谷 憲 嚴 香姫
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.106-113, 1994
被引用文献数
6

日本の都市の気象台のデータは1950年代と1960年代に急速な乾燥化を示したが,1970年頃に変化傾向が急変し,年間の変動を除いて以後ほぼ一定になっている.東京や大阪のデータは相対湿度の増加傾向すら示唆している.一方,非都市域の気象官署では最近明瞭な乾燥化が観測されている.このため相対湿度及び水蒸気圧の都市内外差は近年,減少傾向になっている.急速な乾燥化の起こっていた時期には,水蒸気量の減少と昇温が同時的に相対湿度を低下させていた.最近の湿度の都市内外差の減少は非都市域の乾燥化という相対的なものだけではなく,様々な人間活動による都市大気への水蒸気の放出量の増加の効果も寄与している.今日の東京及び大阪における都心部と郊外の相対湿度の差はほぼ温度差に起因している.わが国の大都市における乾燥化は夏の蒸し暑さを僅かではあるが和らげる効果をもたらしている.
著者
Yusei HISATOMI Daichi NAKAYAMA Hiroshi MATSUYAMA
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
JOURNAL OF JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.109-123, 2015-05-05 (Released:2015-08-12)
参考文献数
38
被引用文献数
3

本研究の目的は,武蔵野台地における長期的な地下水流動を,数値モデルを利用して再現すること,及び長期的な地下水流動の変化と土地利用との関係を定量的に明らかにすることである.モデルはUSGS(アメリカ地質調査所)が開発したMODFLOW(有限差分法を用いた3次元地下水流動解析モデル)を利用した.シミュレーションは土地利用データのある1976年~2012年を対象とし,MODFLOWを用いて1日ごとの地下水位を算出した.また,4種類のGCMデータを用いて2013年~2050年における地下水流動の予測シミュレーションも行った. 計算された地下水位のデータを用いて,1977年~2012年の地下水位の低下量と観測井戸における涵養域の減少量を算出したところ,両者の間に正の相関関係があることが分かった.この要因として,1977年~2012年に,水田や農地,森林などの透水面の面積が減少し,建物用地などの不透水面の面積が増加していることが示された.2013年~2050年の地下水流動の将来予測では,土地利用が変化しないと考えると,将来的に適度な強度の降水量が増加することで地下水位が上昇することが示唆された.
著者
牛山 素行
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.381-390, 2002
被引用文献数
1

豪雨時には,住民一人一人がその雨はどの程度激しいのかを理解することが,早期避難などの防災上重要であり,利用しやすい情報の整備が必要である.本研究では,この理解を支援することを目的とし,携帯電話からも参照できる日本全国のリアルタイム豪雨表示システムを開発・公開した(http://www.disaster-i.net/rain/).このシステムでは,全観測所の1時間降水量,24時間積算降水量などが表示され,最新の観測値だけでなく,過去最大値との差も見ることができることが特徴である.災害時などの通信混雑時にも容易にアクセスできるよう,ほぼすべての情報は文字で表示し,グラフも文字(記号)によって作成した.システム公開後の6ヶ月のアクセス状況を集計したところ,トップページのアクセス回数は1日平均306回,最大日で3078回,最多アクセス日の全ページへのアクセス回数総計は21500回であった.これは同じ日の国土交通省「川の防災情報」(www.river.go.jp)のアクセス回数の2%に相当する.また,本システムはいくつかのホームページ評価サイトや新聞に取り上げられており,このシステムはすでに社会的に評価され,実用的なものになっていると言っていい.
著者
中山 幹康
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.128-140, 1998
被引用文献数
2

メコン川の流域国4か国は1995年4月5日「メコン川流域の持続的開発協力に関する協定」に調印した.同協定の交渉過程では,流域国であるタイとベトナムの確執に起因する交渉の行き詰まりを打開するためにUNDP(国連開発計画)が仲介役を務めた.国際流域における流域国間の係争に国際機関が仲介役として過去に成功を収めた例としては,インドとパキスタンによる係争を世界銀行が仲介した結果,1960年に「インダス川条約」が締結されたことが知られているのみであった.「インダス川条約」と「メコン川流域の持続的開発協力に関する協定」の交渉過程を比較すると,流域国および仲介役を演じた国際機関が置かれていた状況について幾つかの類似点が見られる.国際機関が国際河川における流域国間の係争に仲介役として機能し,かつ流域国を合意に導くために満たすべき要件としては,(a)流域国が係争の解決を指向し,かつ国際機関による仲介が不可欠であるとの認識を流域国が持つ,(b)特定の国際機関が先進国や援助機関の利益代表としての立場を保持する,(c)統合的な流域管理計画に固執しない,などを挙げることが出来る.
著者
恩田 裕一 辻村 真貴 野々田 稔郎 竹中 千里
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
水文・水資源学会誌 = JOURNAL OF JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY & WATER RESOURCES (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.18, no.6, pp.688-694, 2005-11-05
被引用文献数
9 16

近年,林業労働力の不足,材価の低迷のため,適切に管理されずに放置され荒廃した林分が年々増大している.従来の研究によれば,人工林,特にヒノキ一斉林では,樹冠の閉鎖が進むと下層植生が消失し,浸透能が低下することが知られていたが,従来の浸透能測定法では,裸地化した林床における浸透能を正確に表現していない恐れがある.そこで本研究では,冠水型浸透計,霧雨散水型浸透装置,樹幹上から散水をする大型の浸透計を用い林内における浸透能の把握をすることを目的に研究を行った.その結果,霧雨散水型が294-670 mm/h,冠水型浸透計での測定値は,210-456 mm/h程度とかなりばらつきが多く,また,非常に高い浸透能を示す.これに対し,降雨強度35-45 mm/hの人工降雨を4回,林冠上から散水した結果,浸透能は26-34 mm/hと一桁低い値で比較的安定した値を示した.人工降雨型の浸透試験器は,スプリンクラーにより樹冠上から散水されるために,雨滴径も大きく,林内雨を再現していると考えられるため,人工降雨型を用いた場合の値が,林床が裸地化したヒノキ林の浸透能を示すとするのが妥当であり,他の方法では過大な値を得る結果となる可能性が高い.
著者
ニャダワ モーリス 小葉竹 重機 江崎 一博
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.93-100, 1995

ケニアは大きく5個の流域に分けられ,その第3番目の流域はAthi川流域で流域面積約7万km2で,そのうち65%がAthi川本川である。残り35%は直接インド洋に注ぐそれぞれ独立したいくつかの河川から構成される。Athi川本川の上流域は3月~5月と10月~11月にかけての2回の雨期をもつが,とくに3月~5月の雨期では雨のピークは4月にあるにもかかわらず,流量のピークは5月になってから現れる。この現象は流域面積が数十km2の小流域でも顕著に認められ,水文学的に大きな流域とみなすことができる。このような性質をもつ流域からの流出をタンクモデルによってシミュレートした。タンクは3段直列であるが,1段目のタンクの浸透孔を底部より高い位置に開口し,土壌に取り込まれ蒸発散のみで失われる土壌水分成分を表現した。蒸発散量は蒸発皿の値に一定の係数をかけた値を用いた。1960年~1988年の資料を用いてシミュレーションを行った結果,良好な結果が得られた。