著者
木口 雅司 沖 大幹
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.231-247, 2010-05-05 (Released:2010-05-25)
参考文献数
77
被引用文献数
8 5

極端な大雨の頻度の増減を議論する上でこれまで観測された雨量極値記録を正しく評価する必要がある.本論文では,世界および日本における雨量極値記録の出典や観測データを遡りその信頼度や不確実性を含め再評価した.世界の雨量極値記録に関しては,WMOやNOAA/NWSによって纏められているが出典が不明確なものが多く含まれていた.また論文内の値が現地気象局のデータと異なる事例や引用論文の記載内容に基づく解釈に問題がある事例も見られ,可能な限り修正・注釈を行った.日本の雨量極値記録に関しては,様々な書籍内で気象庁以外の行政組織や民間会社の観測を含む極値記録が記述されているが,誤記載や不確実性のあるデータが含まれておりその検証・修正・注釈を行った.さらに更新した極値リストを用いて,多くの場合短い(長い)時間スケールの極値は小さい(大きい)空間スケールの気象現象によることが確認されたが,一方で単に起因現象の空間スケールではなく時空間スケールを考慮した豪雨システムに着目すべきであることが示された.現在WMO/CClによって降水量を含めた極値に関する精査が進められているが,本論文で示した信頼度や不確実性を示すことで降水極値に関する精査がより推進されることが期待される.
著者
牛山 素行 今村 文彦 片田 敏孝 吉田 健一
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.150-158, 2004 (Released:2004-06-01)
参考文献数
12
被引用文献数
4 4

近年急速に整備されつつある豪雨防災情報の実災害時における効果を評価する観点から,現地調査を行った.調査は2007年7月に台風6号および前線によって,最近30年で最大規模の被害(浸水家屋約700棟など)を生じた岩手県東山町・川崎村を対象とし,水文データの収集,現地でのヒアリング,アンケート調査(有効回答700)などを行った.災害時に,インターネットなどのリアルタイム雨量・水位情報を参照した回答者は5%程度であり,24%の回答者はシステムの存在を知っていたが利用していなかった.川崎村では74%の回答者が,避難などの判断に際して「雨量・水位などの情報を参考にした」と答えた.同村では防災行政無線を通じて国土交通省観測の水位情報などをリアルタイムに伝達しており,この情報が参考にされたものと思われる.車の移動,畳上げなどの家財保全行動の成功・失敗と,雨量・水位情報の取得成功・失敗の相関を見たところ,情報取得に成功した回答者は,家財保全行動に失敗した率が低いという関係が認められた.リアルタイム情報に対する関心自体は高く,情報が的確に伝われば,避災行動の成功につながる可能性が示唆された.しかし,災害時の情報伝達手段としてインターネット等は一般化しておらず,最新技術に過度な依存をせず,複数の情報伝達手段を活用することが効果的と思われる.
著者
近藤 純正
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.336-343, 1993-12-10 (Released:2009-10-22)
参考文献数
6
被引用文献数
2 4

降雨に伴う表層土壌の含水率の鉛直分布の時間変化を液体水輸送の数値計算から求めた.この計算では,降水量と降水継続時間との間の統計的経験式を用いた.「砂」「ローム」「粘土」についての結果は降水量ごとに分類して表に示してある.このデータは降雨後の土壌面蒸発の計算を行なうときの初期条件として利用できる.
著者
庄 建治朗 鎌谷 かおる 冨永 晃宏
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.294-306, 2017-09-05 (Released:2017-10-05)
参考文献数
18

本研究では,歴史時代の水文・気候環境を復元する資料としての古日記天気記録の利用可能性を検証するため,気象台による観測開始以降の明治・大正期に書かれた古日記を用い,日記天気記録と気象観測データとの関係を分析した.京都とその周辺地域で書かれた8つの古日記から天気記録を収集し,日単位の降水量・雲量のデータと照合したところ,各天気種別に対応する観測値の分布は,日単位で見れば非常に広い範囲にばらつくが,長期間の平均値は異なる日記間で互いに近い値をとることが分かった.このことは,日記天気記録は日単位では非常に誤差が大きいが,月単位や季節単位といった期間積算値を用いることで客観性が高まり,降水量等の定量値を推定できる可能性が高くなることを示唆している.さらに,これらの解析結果を応用して,観測時代について歴史時代と同じ方法で日々の天気から入出梅日を推定することにより,過去約240年間にわたる時間的に均質な入出梅日のデータを作成し,梅雨期間の長期変動を分析した.結果は,20世紀が過去に見られないような梅雨期間の長期化した時期であったことなど,過去の研究でも指摘されていたことを再確認するものであった.
著者
浅枝 隆 藤野 毅
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.3-7, 1992-12-01 (Released:2009-07-23)
参考文献数
3
被引用文献数
2 2

夏期においてアスファルトとコンクリート舗装の熱収支を調べるために野外観測を行った。その結果, アスファルトの表面温度は57℃まで達し, 表面から放出される赤外放射量も670W/m2を記録した。これは, その時の下向き大気放射量450W/m2と比較すると実質上向きに220W/m2も放出されることになる。また, 顕熱量も昼間は300W/m2以上になり, これらは都市域の温暖化を考える際に大きな熱源となるものといえる.一方, コンクリートではアルベドが大きいために表面温度は高くならず, 同じ舗装面でもむしろアスファルトよりも土に近い傾向を示した.それぞれの地表面における熱収支では, 日中アルベドがほぼ等しいアスファルトと土についても, 熱伝導率・熱容量などの物性の違いや水分蒸発の有無による影響を受け, 大きく異なった特性を示した.さらに顕熱量の算定に当たっては, アスファルトのように表面が非常に高温になり, 風速が小さいときにはバルク式だけでは十分に見積もることができず, 対流による熱輸送を考慮して見積もる必要があることがわかった。さらに, それぞれの地表面での正味放射フラックスと地中熱フラックスの時間的な関係をループの形, 大きさで表し, それぞれの蓄熱特性の違いを特徴的に表現することができた。このように表すことより, その土地の熱的特性を知ることができる.
著者
Junsei KONDO Makoto NAKAZONO Tsutomu WATANABE Tsuneo KUWAGATA
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
JOURNAL OF JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.8-18, 1992-12-01 (Released:2009-07-23)
参考文献数
10
被引用文献数
18 24

全国の気象官署のデータを用いて熱収支的な方法によって, 森林における蒸発散量 (無降水日の蒸散量と降水日の遮断蒸発量の和) を見積もった.年蒸発散量は北日本では600-700mmy-1, 南日本では800-900mmy-1程度であり, 平衡蒸発量と比較的高い相関がある.また水面蒸発量より1.1-1.5倍も大きいことがわかった.
著者
牛山 素行 松山 洋
出版者
水文・水資源学会編集出版委員会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.8, no.5, pp.492-498, 1995-09-05 (Released:2009-10-22)
参考文献数
4
被引用文献数
1 4

身近で得られる清涼飲料水のペットボトル,ポリ製ロートなどを用いて軽量・安価な簡易雨量計を作成した.最も一般的に利用されている転倒ます式雨量計との比較観測を行ったところ,降水量10mm以上で観測精度は±10%程度であった.受水部への雨滴飛び出し防止板の取り付けの有無では,取り付けない方が安定した観測値を得た.今回試作した簡易雨量計は10mm以上のまとまった降水量を把握するには十分実用的なものといえる.
著者
勝山 正則
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.3-5, 2020-01-05 (Released:2020-02-06)
参考文献数
3

森林流域に形成された湿地における水文生物地球化学的過程について検討した論文「勝山正則, 伊藤雅之, 大手信人, 谷誠 (2018) 森林流域に存在する渓畔湿地内の水文生物地球化学的過程とその表流水質に与える影響, 水文・水資源学会誌, 31, 178-189. DOI: 10.3178/jjshwr.31.178.」に2019年水文・水資源学会論文賞が与えられた.本稿は当該論文の背景や経緯とその後を記述するものである.
著者
Kensaku AMANO
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
JOURNAL OF JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.34-38, 2015-01-05 (Released:2015-07-03)
参考文献数
20
被引用文献数
1

「国際水路の非航行的利用に関する条約」が,国連総会での採択から17年を経て,2014年8月に発効した.この条約は国境をまたぐ河川,湖沼,地下水を含む淡水資源の開発や管理に関する国際基準を示したもので,国際社会に大きな影響を及ぼすものと考えられる.特に,条文上最も重要視される「衡平利用原則」については,水資源をめぐる当事国間で紛争があった場合の一つの解決基準として用いられると期待され,事実,発効前にもかかわらず,これまで国際司法裁判所の判決でも引用されてきた.条約は当事国のみを規律するのが原則であるが,締約国以外にも当該条文が適用できるか,いわゆる国際慣習法化されているかは,条約発効後の国家実行や裁判例を待つ必要があろう.
著者
山中 大学
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.189-200, 2019-07-05 (Released:2019-08-09)
参考文献数
63

インドネシア「海大陸」は真の大陸に比べ遥かに長い海岸線をもち,これに沿って日周期海陸風と共に生じる世界最強の雨雲が解放する潜熱は,日射(-日傘効果)と赤外放射(-温室効果)の差を埋めている.この地球保温機構は,同時に保水機構であり,それらと共に陸海空三重境界の不連続を回避する仕組の一つとして作られた生物圏や,その内部に派生した人類圏の生命維持機構でもある.特にスマトラ・カリマンタン両島の海岸の低湿地林とその遺骸蓄積が作る泥炭地は多量の炭素を固定しており,それらの輸出用農作物プランテーション化に伴う乾燥やエルニーニョ・ダイポールモード期に多発する火災延焼は地球温暖化の要因となっている.如何にして気候・生物・人類を共存させていくかを国際的・学際的に考えねばならない.
著者
ムルング デオグラティアス 椎葉 充晴 市川 温
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.15, no.6, pp.555-568, 2002
被引用文献数
3

降雨遮断に対する三種類のモデル(Deardorffのべき関数式を用いたRutterのモデル,Deardorffのモデル,修正近藤モデル)に気象外力を与えて一年間のシミュレーションを行い,その結果を比較した.それぞれの降雨遮断のモデルには,ペンマンーモンティース式を組み合わせた.修正近藤モデルは,水収支を構成する種々の要素を考慮したものであり,降雨イベント間の蒸発散機構も取り入れられている.この蒸発散の計算には,Deardorffのべき関数式,キャノピーでの貯留量の変化,キャノピーからの流出が考慮されている.ペンマンーモンティース式は蒸発散量を決定するうえで核となる部分である.この式は日本あるいは試験流域で広く適用されており,本研究においても,降雨遮断モデルの比較の基礎として用いることにした.本研究では有効降雨に着目していることから,水収支のコントロールボリュームはキャノピーの上端から地表面までの間としており,水収支の計算には土壌水分量や蒸散量は含まれていない.モデルの計算結果から,森林キャノピーからの蒸発量は全降水量の22%から29%となることが明らかとなり,また,モデル間の差異は冬季の計算で大きくなることも明らかとなった.冬季は降水量が少なく,キャノピーの貯留量や降水量がポテンシャル蒸発量を満たさなくなるために,モデル間の違いがはっきり現れたものと考えられる.年間の有効降水量は総降水量の71%から78%,年間の蒸散量は727mmから733mm程度と算定された.また,修正近藤モデルにべき関数式を適用したところ,蒸散量の値には大きな影響が,蒸発量の値には若干の影響が見られた.修正近藤モデルによる計算結果は他の二つのモデルの結果とほぼ同等であり,水文モデルに対する時間単位の入力を算出するために使用できると考えられる.モデル間の蒸発散量の違いは,主として樹冠通過率と貯留量流出量関係の定式化の違いから生じている.
著者
近藤 純正 桑形 恒男
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.13-27, 1992
被引用文献数
8

全国66地点の気象官署のデータを用いて, 放射量および浅い水面からの蒸発量の季節的地理的分布を計算した.年蒸発量は緯度が高くなるほど減少し, 北日本・北陸地方では500mmy<SUP>-1</SUP>前後, 関東以南では700mmy<SUP>-1</SUP>前後となった.これは年降水量の30~50%にあたる。<BR>一方, 日本各地における年平均日射量はほぼ130~160Wm<SUP>-2</SUP>, 有効長波射出量は50~70Wm<SUP>-2</SUP>の間に分布している.
著者
五名 美江 蔵治 光一郎
出版者
水文・水資源学会編集出版委員会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.212-216, 2013-07-05 (Released:2014-04-07)
参考文献数
16

限られた数の地点のデータから,地域の年降水量のトレンドを知るためには,対象とする地域内で複数地点の長期観測データを用いて,トレンドの年数依存性と地域代表性との相互関係を調べておくことが有益である.事例として名古屋とその周辺域の5地点の79年間の年降水量データを取り上げ,年降水量のトレンドの年数依存性と地域代表性との相互関係について調べた.年数45年間未満の場合,トレンドは5地点でそれぞれ異なり,年数45年以上70年未満では,岐阜を除く4地点について共通のトレンドがみられ,年数70年以上では5地点で共通のトレンドがみられた.この地域では,日本海側の気候の影響が無視できない河川流域において,流域全体の降水量のトレンドを知るために,少なくとも70年以上の年数のデータが必要であることが示唆された.
著者
佐藤 李菜 林 武司
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.30-36, 2012-01-05 (Released:2012-02-06)
参考文献数
4
被引用文献数
1

近年,多くの自治体で洪水ハザードマップが作成されている.ハザードマップの原図となる浸水想定区域図の作成に使用する地盤高データは50 mメッシュを基本としているが,日本の多くの都市が立地する低平地の地形を表現するには不十分と考えられる.そこで,秋田市茨島地区を対象に,洪水ハザードマップに使用されている浸水想定区域図の地盤高データの精度を検証し,地形情報の精度が浸水想定区域に及ぼす影響を明らかにした.結果,浸水想定区域図の地盤高データには実際の地形との誤差があり,洪水ハザードマップの浸水想定区域に誤差が生じていた.これにより,ハザードマップを使用する側が水害に対するリスク評価を誤って受け取る可能性が指摘された.
著者
遠藤 崇浩 森 吉尚 沖 大幹
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.144-155, 2020

<p> 飲用水及び生活用水の確保は地震災害時の最重要課題の一つである.現在,日本各地で水道施設の耐震化が進められているが,それを補完する手段の一つに災害用井戸の整備がある.災害用井戸に関する既存研究は個別事例の紹介に留まっており,広域的な普及度の調査が不十分だった.そこで本稿では全国20の政令指定都市における災害用井戸の現況を調査したうえで,2016年の熊本地震での経験から仮説的に導出した基準を用いてそれぞれの都市の災害用井戸制度の充実度評価を行った.その結果,災害用井戸が導入されているのは12の政令指定都市に留まっていること,導入済みの政令指定都市のうち千葉市,横浜市,川崎市,相模原市,名古屋市,熊本市の制度が比較的高い充実度をもつことを明らかにした.そしてその現況調査から災害用井戸の更なる普及の必要性,災害用井戸の維持に向けた環境政策統合,他の補給水利との連携強化という新たな課題を提示した.</p>
著者
鳥羽 妙
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.259, 2016-07-05 (Released:2016-08-17)

様々な状況に臨機応変に対応し,意に反するものが降ってきてもネガティブな発想にならずに対応する.研究にかかわることは常に頭の片隅で考え続け,多くの情報や経験といつでも繋がるようにしておく.繋がる快感を経験することでさらなる発想に繋がる.
著者
近藤 純正
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.223-229, 1993-09-10 (Released:2009-10-22)
参考文献数
8

裸地面蒸発の計算モデルを考えた.土壌は,厚さ0.02m, 0.04m, 0.08mの3層からなる.モデルでは各層内の小空隙で気化した水蒸気が土壌間隙を通って出てくることが考慮されている.
著者
河村 明
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.451-466, 2018

<p>&emsp;本総説では,都市流域を対象とした洪水流出解析の現状を概説するとともに将来展望を述べている.まず,都市型水害について述べ,次いで流出解析におけるモデルの歴史を簡単に振り返りそれらを概説するとともに,都市流域への洪水流出モデルの適用の現状を紹介する.次に,集中型概念モデルの貯留関数モデルを概説するとともに,都市貯留関数(USF)モデルについて解説を行う.そして,都市流域における精緻な分布型物理モデルの必要性を述べ,高度な地物データGISについてメッシュデータとの違いを示し,高度な地物データを活用した精緻な分布型物理モデルであるTSRモデルについて概説する.最後に,集中型概念モデルや分布型物理モデルなどの課題や将来展望を俯瞰し,都市型水害の減災への提言も行っている.</p>
著者
河村 明
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.451-466, 2018-11-05 (Released:2019-01-25)
参考文献数
121
被引用文献数
2

本総説では,都市流域を対象とした洪水流出解析の現状を概説するとともに将来展望を述べている.まず,都市型水害について述べ,次いで流出解析におけるモデルの歴史を簡単に振り返りそれらを概説するとともに,都市流域への洪水流出モデルの適用の現状を紹介する.次に,集中型概念モデルの貯留関数モデルを概説するとともに,都市貯留関数(USF)モデルについて解説を行う.そして,都市流域における精緻な分布型物理モデルの必要性を述べ,高度な地物データGISについてメッシュデータとの違いを示し,高度な地物データを活用した精緻な分布型物理モデルであるTSRモデルについて概説する.最後に,集中型概念モデルや分布型物理モデルなどの課題や将来展望を俯瞰し,都市型水害の減災への提言も行っている.