著者
辻元 英孝 八木 繁幸 井川 茂 飛鳥 穂高 前田 壮志 中澄 博行 櫻井 芳昭
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協會誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.83, no.5, pp.207-214, 2010-05-20
参考文献数
34
被引用文献数
5

溶液塗布法による高分子電界発光素子(PLED)の開発を目的として,りん光性ビスシクロメタル化イリジウム(III)錯体,ビス[2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジナト-<i>N</i>,<i>C</i><sup>2</sup>&rsquo;]イリジウム(III)(2,2,6,6-テトラメチルヘプタン-3,5-ジオナート-<i>O</i>,<i>O</i>)(<b>1</b>)およびビス[2-(ジベンゾ[<i>b</i>,<i>d</i>]フラン-4-イル)キノリナト-<i>N</i>,<i>C</i><sup>3</sup>&rsquo;]イリジウム(III)[1,3-ビス(3,4-ジブトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオナート-<i>O</i>,<i>O</i>](<b>2</b>)を新規合成した。錯体<b>1</b>はトルエン溶液中において,発光極大波長475 nmおよび507 nm,発光量子収率0.91を有する青緑色発光を示した。また,錯体<b>2</b>は,発光極大波長610 nm,発光量子収率0.77を有する赤色発光を示した。これらのりん光材料を発光ドーパントとし,ポリビニルカルバゾール(PVCz)をホストポリマーとするPLEDを作製した(素子構造:ITO(150 nm)/PEDOT:PSS(40 nm)/PVCz:PBD:<b>1</b>(or <b>2</b>)(100 nm)/CsF(1.0 nm)/Al(250 nm))。錯体<b>1</b>および錯体<b>2</b>を発光ドーパントとするPLEDは,それぞれ溶液中と同様な青緑色および赤色の電界発光を示した。これらの結果から,共ドーパントして錯体<b>1</b>と錯体<b>2</b>を組み合わせることによって白色発光が得られる可能性が示された。実際,ポリビニルカルバゾール層中に錯体<b>1</b>と錯体<b>2</b>の両方を含むPLEDを作製し組成比を調整したところ,PVCz:PBD:<b>1</b>:<b>2</b>=10:3.0:1.2:0.012(wt/wt/wt/wt)の比においてCIE色度座標(0.364,0.378)(@13 V)の白色発光を得た。この白色PLEDは,最大発光輝度4200 cd m<sup>&minus;2</sup>(@13 V),最大電流効率4.9 cd A<sup>&minus;1</sup>(@7.0 V),最大電力効率2.4 lm W<sup>&minus;1</sup>(@6.0 V),最大外部量子効率2.4%(@7.0 V)の素子特性を示した。

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