著者
上坂 敏之 遠藤 智 前田 壮志 古川 一 八木 繁幸 中澄 博行
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.92, no.9, pp.253-259, 2019-09-20 (Released:2019-10-11)
参考文献数
12
被引用文献数
2

農業分野に応用可能な蛍光色素として,ベンゾトリアゾール系青色蛍光色素が対応する5-カルボキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールから合成した。この蛍光色素をポリカーボネートに含有させ押出成形機で青紫蛍光フィルムを作製した。その蛍光特性は,蛍光主波長が410 nm,蛍光量子収率74%の高効率な発光を示し,優れた耐光性も示した。この蛍光フィルムは,太陽光の下で紫外光を青紫光に波長変換することができることを分光放射光量計の測定で示した。この青紫蛍光フィルムをトマト栽培に使用することで,トマト果実のリコピン含量が著しく増加することを見いだした。また,このリコピン含量の増加は,果皮表面の色彩測定でも明らかになり,対照区(フィルムの無)の完熟トマトと比較して,色差△a*値で2~6増加することがわかった。
著者
前田 壮志 大木 哲史 坂野 鋭
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J105-A, no.12, pp.175-178, 2022-12-01

耳認証系に対するオクルージョンの影響を,制御可能な変動を含まないデータベースに対して,画像処理的にオクルージョンを加えることで認証系に与える影響を調べた.オクルージョンとして,髪,イアフォン,イアリングを想定した人工的なオクルージョンを与えた認証実験を行ったところ,異なった画像記述子を用いた系であっても耳上部及び耳孔付近のオクルージョンの影響が最も大きいという事実が明らかになった.
著者
辻元 英孝 八木 繁幸 井川 茂 飛鳥 穂高 前田 壮志 中澄 博行 櫻井 芳昭
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協會誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.83, no.5, pp.207-214, 2010-05-20
参考文献数
34
被引用文献数
5

溶液塗布法による高分子電界発光素子(PLED)の開発を目的として,りん光性ビスシクロメタル化イリジウム(III)錯体,ビス[2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジナト-<i>N</i>,<i>C</i><sup>2</sup>&rsquo;]イリジウム(III)(2,2,6,6-テトラメチルヘプタン-3,5-ジオナート-<i>O</i>,<i>O</i>)(<b>1</b>)およびビス[2-(ジベンゾ[<i>b</i>,<i>d</i>]フラン-4-イル)キノリナト-<i>N</i>,<i>C</i><sup>3</sup>&rsquo;]イリジウム(III)[1,3-ビス(3,4-ジブトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオナート-<i>O</i>,<i>O</i>](<b>2</b>)を新規合成した。錯体<b>1</b>はトルエン溶液中において,発光極大波長475 nmおよび507 nm,発光量子収率0.91を有する青緑色発光を示した。また,錯体<b>2</b>は,発光極大波長610 nm,発光量子収率0.77を有する赤色発光を示した。これらのりん光材料を発光ドーパントとし,ポリビニルカルバゾール(PVCz)をホストポリマーとするPLEDを作製した(素子構造:ITO(150 nm)/PEDOT:PSS(40 nm)/PVCz:PBD:<b>1</b>(or <b>2</b>)(100 nm)/CsF(1.0 nm)/Al(250 nm))。錯体<b>1</b>および錯体<b>2</b>を発光ドーパントとするPLEDは,それぞれ溶液中と同様な青緑色および赤色の電界発光を示した。これらの結果から,共ドーパントして錯体<b>1</b>と錯体<b>2</b>を組み合わせることによって白色発光が得られる可能性が示された。実際,ポリビニルカルバゾール層中に錯体<b>1</b>と錯体<b>2</b>の両方を含むPLEDを作製し組成比を調整したところ,PVCz:PBD:<b>1</b>:<b>2</b>=10:3.0:1.2:0.012(wt/wt/wt/wt)の比においてCIE色度座標(0.364,0.378)(@13 V)の白色発光を得た。この白色PLEDは,最大発光輝度4200 cd m<sup>&minus;2</sup>(@13 V),最大電流効率4.9 cd A<sup>&minus;1</sup>(@7.0 V),最大電力効率2.4 lm W<sup>&minus;1</sup>(@6.0 V),最大外部量子効率2.4%(@7.0 V)の素子特性を示した。