著者
大井 徹 大西 尚樹 山田 文雄 北原 英治
出版者
The Mammal Society of Japan
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.17-24, 2008-06-30
参考文献数
23
被引用文献数
1

京都府のツキノワグマは,由良川(福知山市より下流部)の東側に分布する丹波個体群と西側に分布する丹後個体群に分かれるが,丹波個体群では,丹後個体群より若齢のオスがより多く有害捕獲される傾向が認められた.その原因を明らかにするために捕獲方法,捕獲理由,捕獲月,捕獲場所の景観,メスの分布と捕獲されたオスの年齢の関係を検討した.捕獲地点の分布を検討したところ,性成熟したオスは,交尾期になると,性成熟したメスが生息する可能性の高い地域に集まる傾向が示唆されたが,そのようなメスの生息地域の内と外で捕獲されたオスの年齢を比較しても差異は認められなかった.検討した要因の中では,唯一捕獲場所の景観の影響が認められ,森林で捕獲されるオスは若齢のものが多い傾向があることがわかった.丹波個体群ではクマハギ防除のために7~10月に森林中で多くの有害捕獲が行われる一方,丹後個体群では8~11月に農業被害や人身被害防止のため集落・農地近くでの有害捕獲が多く行われており,このことが背景となって丹後個体群と丹波個体群の捕獲個体構成の差異が生み出されていると示唆された.一方,この差異は野生個体群の構成の違いを反映している可能性もあり,留意する必要がある.<br>

言及状況

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捕獲数に数年おきの周期性があるように見える要因はいろいろありそう:餌の豊凶の周期、前年の捕獲数、捕獲個体の齢構成(参考:http://t.co/5kz404SzdY)、ツキノワグマの性成熟期間(3〜4年?参考:http://t.co/r6x9fhevaN)などかな。

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