著者
川路 則友 東條 一史 松岡 茂 高野 肇 北原 英治
出版者
森林総合研究所
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.271-350, 2003 (Released:2011-03-05)

森林総合研究所に所蔵してある数多くの鳥獣類標本のうち、仮剥製鳥類標本4,790点について、リストを作成、公表する。これら標本は、おもに1920年代から1930年代にかけて、当時の農林省鳥獣調査室によって収集されたものである。標本には、おもに渡り期に全国の灯台から収集された衝死鳥や千島列島からの収集品などが含まれる。
著者
北原 英治 原田 正史
出版者
森林総合研究所
雑誌
森林総合研究所研究報告 (ISSN:09164405)
巻号頁・発行日
no.370, pp.21-30, 1996-03
被引用文献数
4

紀伊半島産ヤチネズミ個体群の分類学的位置を調べるため,その染色体を本州中部産ヤチネズミと比較した。その結果,紀伊半島産と本州中部産ヤチネズミの核型(2n=56,FN60)はほとんど同一であることが明らかとなった。すなわち,ヤチネズミ両個体群の染色体はとも2対のサブテロセントリック,1対のメタセントリック,24対のアクロセントリック,サブテロセントリックのX染色体とサブメタセントリックのY染色体からなっていた。また,供試ヤチネズミの染色体をClethrionomys rufocanus及びEothenomys smithiiと比較することにより,本ヤチネズミはC. rufocanusよりもE. smithiiに近縁であることが分かった。従って,ヤチネズミ両個体群は分類学的に同一種に属することが結論され,両者を一括してEothenomys andersoniとするAIMI(1980)の考えを一層強く支持した。
著者
阿部 学 北原 英治
出版者
森林総合研究所
雑誌
森林総合研究所研究報告 (ISSN:09164405)
巻号頁・発行日
no.356, pp.p29-45, 1989-12

新たに開発したヘリコプターセンサス法を用いて,群馬県の国有林2297haにおいてカモシカ等のセンサスを行った。1982~1984年の各々3月に実施したセンサスで,105個体,134個体,119個体のカモシカを数え,三者間に有意差はなかった。また,同調査地内の1314haで二日間にわたって行った再現性のテストでも,各々48個体,43個体を数え,互いに有意差はなく,当調査法の再現性の高いことが判明した。区画法との比較を行った結果,316haの中で地上では2.37~2.96個体/km2を,空からは5.7個体/km2を数え,空からの調査は地上調査の約2倍となった。三か年間の調査でカモシカをはじめノウサギ,ツキノワグマ,イヌワシ,ヤマドリなど13種の鳥獣が識別できた。ノウサギとヤマドリはカモシカと並行してセンサスを行い,各々74個体,54個体を数えた。この結果,当調査法はカモシカのみならず他の鳥獣への適用の可能性を示唆した。ヘリコプターセンサスの利点は,1)地形,植生,積雪などの地上条件に左右されない,2)動物に動きを与えるので発見が容易である,3)地上調査に比べて広範囲の調査が可能で,小面積調査に由来する誤差が小さい,4)再現性が高い,5)非積雪地帯でも適用可能で汎用性が高い,6)同時に複数の鳥獣のセンサスが可能,などである。
著者
大井 徹 大西 尚樹 山田 文雄 北原 英治
出版者
The Mammal Society of Japan
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.17-24, 2008-06-30
参考文献数
23
被引用文献数
1

京都府のツキノワグマは,由良川(福知山市より下流部)の東側に分布する丹波個体群と西側に分布する丹後個体群に分かれるが,丹波個体群では,丹後個体群より若齢のオスがより多く有害捕獲される傾向が認められた.その原因を明らかにするために捕獲方法,捕獲理由,捕獲月,捕獲場所の景観,メスの分布と捕獲されたオスの年齢の関係を検討した.捕獲地点の分布を検討したところ,性成熟したオスは,交尾期になると,性成熟したメスが生息する可能性の高い地域に集まる傾向が示唆されたが,そのようなメスの生息地域の内と外で捕獲されたオスの年齢を比較しても差異は認められなかった.検討した要因の中では,唯一捕獲場所の景観の影響が認められ,森林で捕獲されるオスは若齢のものが多い傾向があることがわかった.丹波個体群ではクマハギ防除のために7~10月に森林中で多くの有害捕獲が行われる一方,丹後個体群では8~11月に農業被害や人身被害防止のため集落・農地近くでの有害捕獲が多く行われており,このことが背景となって丹後個体群と丹波個体群の捕獲個体構成の差異が生み出されていると示唆された.一方,この差異は野生個体群の構成の違いを反映している可能性もあり,留意する必要がある.<br>