著者
石出 猛史
出版者
千葉医学会
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.87, no.4, pp.139-149, 2011-08-01

千葉大学医学部の源は,明治7年(1874)に創設された共立病院とそれを継いだ公立千葉病院である。病院の設立は千葉県の衛生行政の一環として行われた。旧幕時代の慶応3年(1867)佐倉藩では,主として下級藩士と領内の窮民を対象とした洋式病院が設立運営されたが,共立病院は千葉県民を対象とした洋式病院の嚆矢でもあった。千葉県では新たに医師になる者に対して,洋式医学を教育するための機関として,公立千葉病院に医学教場を設置した。一方従来の開業医を対象として,県内各地に医学講習所を設けて,洋式医学の教育を行った。共立病院・公立千葉病院の医師は通常の診療のみならず,医学生の教育・住民に対する種痘・梅毒検疫などの多種多様な業務をこなした。医学教場の卒業生は,公立千葉病院で診療にあたるか地域での診療に従事した。千葉県における近代の医療は,当初このような医師たちによって担われた。またこの時代の数少ない知識人として,地方の行政において指導的な役割を果たす医師も少なくなかった。

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