- 著者
-
佐藤 佳郎
高田 肇
片山 順
- 出版者
- 京都府立大学
- 雑誌
- 京都府立大学学術報告. 人間環境学・農学 (ISSN:13433954)
- 巻号頁・発行日
- vol.50, pp.75-86, 1998-12-25
コレマンアブラバチ(Aphidius colemani)とショクガタマバエ(Aphidoletes aphidimyza)が, ワタアブラムシの生物的防除素材として, 1998年4月に農薬登録された。京都府京都乙訓農業改良普及センターは京都市上賀茂のキュウリ栽培ビニルハウス(側面開放型, 網なし)において, これら2種天敵昆虫を1997年5月2日から1週間間隔で計4回放飼して防除試験をおこなった。著者らはワタアブラムシとその天敵昆虫の発生量, 特に捕食寄生バチ類の動態を調査した。ワタアブラムシは5月中旬に1か所(数株)で大発生し, 6月にはそこからハウスのほぼ全域に広がり, 天敵からのエスケープ状態となった。サンプリングしたアブラムシの捕食寄生バチによる寄生率は平均67%(解剖による), コレマンアブラバチは一次捕食寄生バチの81%を占めた。サンプリングした茶褐色丸型マミーから, コレマンアブラバチは13%しか羽化しなかったのに対し, 4科8種にわたる二次捕食寄生バチが39%も羽化した。黄色粘着板トラップにはコレマンアブラバチより在来のアブラバチLipolexis gracilisが18%多く捕獲された。本試験の結果から, 天敵昆虫を有効に利用する方法を考察した。