著者
加納 恭卓
出版者
石川県農業短期大学
雑誌
石川県農業短期大学研究報告 (ISSN:03899977)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.17-24, 1993-12-15

空洞の発達したスイカ果実は市場での評価が著しく低くなる。本報告では低節位と高節位に着果し生長した果実について,果実生長,果肉細胞ならびに細胞間隙の数と大きさ,および空洞の発達状況を調査し空洞の発生機構を明らかにしようとした。1.第7,8節目の低節位に着果し生長した果実では,第16節目の高節位のものに比べ,受粉後10日目の果実の大きさは小さいが,果実の生長速度が大きく,空洞発生率も空洞面積も大きかった。低節位,高節位のいずれの果実でも10日目の果実に比べ,30日目の果実では,果皮部や外壁部の細胞の大きさは変わらなかったが,果皮部や外壁部を除く果肉部の細胞の大きさは大きくなった。 30日目では,低節位の果実では高節位の果実に比べ,果皮部や外壁部の細胞の大きさはほぼ同じであったが,果肉部ではより大きな細胞と細胞間隙が認められた。2.受粉後40日目の果実について,果実の横断面の端から中心を通り端までの細胞および細胞間隙の大きさと数を調査したところ,低節位の果実では果実中の細胞数は少なく,より大きな細胞が多くあった。また,細胞間隙の数も多く,しかも大きな間隙が多かった。以上より,スイカの果実中の空洞の発達について次のように考えることができる。果実中の細胞数の少ない低節位の果実では,果実の生長にともない,細胞肥大のみによる果実内部の生長と細胞分裂もともなう果実外側節の生長との間に不均衡が生じ,果実内部で内部組織を引っ張るような力学的な歪みが発生し空洞が発達する。しかし,細胞数の多い高節位の果実ではたとえ果実の生長が促進されても内部の生長は外側部の生長と均衡が保てるため力学的な歪みも生じず空洞は発達しない。

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CiNii 論文 -  スイカ果実における空洞発生と着果節位との関係https://t.co/51JKlPsumW #ふしぎなガレージ

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