著者
増田 大祐 福岡 信之 後藤 秀幸 加納 恭卓
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.597-601, 2007-10-15
参考文献数
16
被引用文献数
1 13

&lsquo;高系14号&rsquo;の甘味の向上を図るため,3,5,10,13℃下で20日間の貯蔵が糖含量や甘味度におよぼす影響を調査した.その結果,スクロース含量は3℃と5℃の貯蔵温度で,グルコース,フルクトース含量は10℃,13℃の貯蔵温度で急速に増加した.また,マルトース含量は処理温度に関係なく,処理後の日数経過に伴って低下した.この結果,蒸しイモの甘味度は5℃と10℃の貯蔵温度で最も高かった.しかし,5℃以下の温度では処理後に腐敗の発生が顕著であったため,短期間で甘味の向上を図るには10℃で貯蔵することが有効と考えられた.<br>
著者
増田 大祐 福岡 信之 後藤 秀幸 加納 恭卓
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.597-601, 2007 (Released:2007-10-24)
参考文献数
16
被引用文献数
5 13

‘高系14号’の甘味の向上を図るため,3,5,10,13℃下で20日間の貯蔵が糖含量や甘味度におよぼす影響を調査した.その結果,スクロース含量は3℃と5℃の貯蔵温度で,グルコース,フルクトース含量は10℃,13℃の貯蔵温度で急速に増加した.また,マルトース含量は処理温度に関係なく,処理後の日数経過に伴って低下した.この結果,蒸しイモの甘味度は5℃と10℃の貯蔵温度で最も高かった.しかし,5℃以下の温度では処理後に腐敗の発生が顕著であったため,短期間で甘味の向上を図るには10℃で貯蔵することが有効と考えられた.
著者
加納 恭卓
出版者
石川県農業短期大学
雑誌
石川県農業短期大学研究報告 (ISSN:03899977)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.17-24, 1993-12-15

空洞の発達したスイカ果実は市場での評価が著しく低くなる。本報告では低節位と高節位に着果し生長した果実について,果実生長,果肉細胞ならびに細胞間隙の数と大きさ,および空洞の発達状況を調査し空洞の発生機構を明らかにしようとした。1.第7,8節目の低節位に着果し生長した果実では,第16節目の高節位のものに比べ,受粉後10日目の果実の大きさは小さいが,果実の生長速度が大きく,空洞発生率も空洞面積も大きかった。低節位,高節位のいずれの果実でも10日目の果実に比べ,30日目の果実では,果皮部や外壁部の細胞の大きさは変わらなかったが,果皮部や外壁部を除く果肉部の細胞の大きさは大きくなった。 30日目では,低節位の果実では高節位の果実に比べ,果皮部や外壁部の細胞の大きさはほぼ同じであったが,果肉部ではより大きな細胞と細胞間隙が認められた。2.受粉後40日目の果実について,果実の横断面の端から中心を通り端までの細胞および細胞間隙の大きさと数を調査したところ,低節位の果実では果実中の細胞数は少なく,より大きな細胞が多くあった。また,細胞間隙の数も多く,しかも大きな間隙が多かった。以上より,スイカの果実中の空洞の発達について次のように考えることができる。果実中の細胞数の少ない低節位の果実では,果実の生長にともない,細胞肥大のみによる果実内部の生長と細胞分裂もともなう果実外側節の生長との間に不均衡が生じ,果実内部で内部組織を引っ張るような力学的な歪みが発生し空洞が発達する。しかし,細胞数の多い高節位の果実ではたとえ果実の生長が促進されても内部の生長は外側部の生長と均衡が保てるため力学的な歪みも生じず空洞は発達しない。
著者
加納 恭卓
出版者
石川県農業短期大学
雑誌
石川県農業短期大学研究報告 (ISSN:03899977)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.16-20, 1987

石川県内の夏まきニンジンで,根部の表皮組織の下層が白く帯状に光る,"ミミズバレ症"とよばれる生理障害か発生し問題となっている。ここでは,ミミズバレ症の発生とは種時期との関係について報告する。供試したニンジンの2品種,'夏まき鮮紅五寸ニンジン'も'埼玉五寸ニンジン'も8月9日には種した場合,収量は最も高く,ミミズバレ症の発生は最も少なかった。逆に,この時期よりは種時期が早くなっても晩くなっても収量は低く,ミミズバレ症の発生は高くなった。糖含量は'夏まき鮮紅五寸ニンジン'では8月9日まきで最も高くなったが,'埼玉五寸ニンジン'では8月29日まきのものを除き,いずれのは種時期のものも低かった。以上より,根部の生育に適さない条件下でミミスバレ症が発生しやすくなるものと考えられる。
著者
加納 恭卓
出版者
石川県農業短期大学
雑誌
石川県農業短期大学研究報告 (ISSN:03899977)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.31-39, 1990

イチゴ果実の成熟とエチレンとの関係について調べた。1.ポットに植え,30℃下で栽培したイチゴの果実は,20℃の果実より早く成熟した。果実からのエチレン発生量は果実が赤く着色し始める時期に最も多くなった。また,果実からのエチレン発生量が最も多くなる時期は,30℃で生育した果実の方が20℃のものより7日早くなった。2.開花1日前の果実をin vitroで培養した場合,BA(ベンジルアデニン)を添加した培地で培養したものは,BAを添加しないものに比べ成熟が抑制された。果実からのエチレン発生量は,培養開始後次第に減少したが,赤く着色し始めた時に増大した。BAを添加した培地のものは,添加しないものに比べ,エチレン発生量の増大する時期が5日ほどおそくなった。3.本圃で栽培していたイチゴから白緑色の果実を採取し,ABA(アプシジン酸)水溶液をしみこませたろ紙と純水をしみこませたろ紙の上に静置したところ,処理後5日目にはABAのものは果色がピンク色になっていたが,純水のものはまだ白色であった。またこの時点で,ABAを処理した果実からのエチレン発生量は,純水のものに比べ1.78倍もあった。4.白緑色の果実にエチレンを処理すると,成熟はむしろ抑制されたが,白色の果実の場合には影響されなかった。イチゴ果実にエチレンを処理しても成熟か促進されなかった理由として,(1)エチレンはイチゴ果実か成熟した結果発生したものである,(2)イチゴの果実組織が外生エチレンに反応する生理的状態に達した時には,すでにその組織中には成熟を促進するのに十分な内生エチレンが存在している,との2つの推論がなされた。