- 著者
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増田 英敏
- 出版者
- 拓殖大学
- 雑誌
- 経営経理研究 (ISSN:02878836)
- 巻号頁・発行日
- vol.63, pp.19-31, 1999-12-22
本稿は, 拙著『納税者の権利保護の法理』(成文堂, 1997年刊)の記述内容に関する新井隆一教授(前租税法学会理事長・1999年9月現在理事長)の専門誌『税研』誌上の批判に対して, 反論を加える形で租税調査の法的性格を再検討したものである。租税調査は, 処罰が存在する間接強制調査であることを確認し, であるからこそ調査手続を法的に整備する必要があることを, 本稿は問題提起するものである。租税調査をめぐる納税者と租税行政庁の紛争は後を絶たない。その理由は, 調査手続規定があまりにも抽象的で, 手続規定がないに等しいところに存在する。間接強制を伴う任意調査であるとの性格付けは, 通説として学界において受入れられてきたが, 間接強制という点ではなく任意調査であるという点が強調されてきたところに, 法的整備が遅々として進むことがない原因のひとつがあると筆者は考える。間接強制調査であるから, 納税者の権利は厚く擁護されなければならないことを主張することを本稿執筆の背景としながら, 改めて租税調査の法的性格を確認することを本稿の目的としている。