著者
井口 俊夫
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.1001-1018, 1978-08

成層圏中の微量成分を観測する目的で,気球搭載用質量分析装置を製作した.装置はそれ以前の物に比べ,分析器部分を磁場偏向型の物から四重極型の物にかえるなど,改良がなされた.この装置を用いて1977年8月30日に気球観測を行った.得られたデータを検討した結果,観測装置に問題があるように思われた.それを明らかにするために室内実験を行った.その結果,イオン・ポンプからのガスの再放出,イオン・ソースでの反応,イオン化に伴う二次生成物の影響など問題が多く,成層圏中の大気組成を正確には測っていないことが明らかになった.これら気球実験および室内実験を通して明らかになった装置の問題点と今後の展望について述べる.

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