著者
植村 益次 井山 向史 福永 久雄 生田 義光 守田 正弘
出版者
東京大学宇宙航空研究所
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.p821-863, 1979-11
被引用文献数
1

最近開発された高比強度・高比剛性のカーボン繊維を用い,フィラメント・ワィンディング法によって,軽量の強化プラスチック複合材料製ロケットモーターケースを研究開発した.これは,M-3H-3号機のキックモーターBとして用いられ,科学衛星EXOS-B(じきけん)をほぼ予定の長楕円軌道に投入するのに成功し,その機能を十分に果した.本文は,その開発過程における主として圧力容器としての力学的最適設計の理論解析および各種試験結果について述べる.資料番号: SA0125802000
著者
長友 信人 松尾 弘毅
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.325-334, 1968-04

太陽熱を動力源とした低推カロケットを,地球の近傍のミッションに用いる場合は,地球の日かげの部分でエネルギーの供給が停止する.とくに低高度の人工衛星として打ち上げられた太陽熱ロケットが,その速度方向に加速することによって,その軌道を拡大する場合は,日かげに入っている時間が長く,その飛行軌道に日かげの影響があらわれる.ここでは,この影響がもっともよくあらわれるようなケースについて軌道計算し,日かげなしの場合と比較した.すなわち,地球の公転によるかげの一の移動はなく,太陽熱ロケットは太陽と地球を含む面内を飛行し,しかも太陽ロケットの作動は,日かげでは停止し加速されないとする.ミッションとしては,500km高度円軌道から同期円軌道への遷移として,太陽熱ロケットの諸元としてのこのミッションに適した値とし考えられるものを用いた.解析結果を比較すると,日かげのある場合は,ない場合に比べてミッションに要する時間は25%多く,この値はロケットの比推力その他のパラメータの変化の影響をほとんどうけない.日かげなしのとき準円軌道で拡大してくる飛行経路は日かげありの場合,出発直後は比例的に長円となる傾向があるが,ミッション最終段階では,この傾向は鈍化し,そのときの離心率に相当する値はそれほど大きくなく,ここでの軌道修正は容易である.したがってエネルギー的損失も,ほとんど問題にならないくらい小さい.
著者
井川 日出男 IKAWA Hideo
出版者
東京大学宇宙航空研究所
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1_C, pp.663-687, 1980-03

スペース・シヤトルのデビューに依って,将来の科学,商業,並びに軍事分野にわたる宇宙利用の研究と応用に画期的な変化がもたらされるであろう.再使用可能な宇宙運航船は,従来の使い捨てブースターで運搬できなかった容積及び重量のペイロードを打ち上げることに依り,低コストの宇宙運営を行うことができる.スペース・シヤトルの重要な点は,有人・右翼のオービター機の開発にある.使命飛行中,オービター機は,垂直打ち上げブースター,宇宙衛星,及び極超音速滑空機として活躍する.特に航空操縦性能を発揮し,極超音達哉の役割りを果すオービター機として,過去に存在しなかった唯一の宇宙船である.従って,オービター機は,降下中,弾道軌道を離れる他の着陸点を選ぶことができ,飛行機の如く着陸する.オービター機の開発に当り,最低100回の再使用及び着陸後二週間以内に再飛行準備を整えることが,二つの必須条件である.オービター機は,大気圏突入の際と極超音速飛行中に生じる苛酷な空力加熱環境に再度曝れることになる.従って,前述の条件に添う為に,オービター機のアルミ構造は完全に再使用可能な表面防熱装置で被覆され,苛酷な熱環境から保護されている.この防熱装置開発の大躍進に依って,今後,経済的宇宙運営及び日常的な宇宙利用が可能とされる.
著者
永田 武 等松 隆夫 小川 利紘
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.918-927, 1966-07

K9M-9ロケットによる昼間大気光,酸素原子6300Å線およびN_2^+イオンの3914Å帯の測定結果とその理論的解釈.測定は高度78kmないし335kmの間でおこなわれた.6300Å線の全輝度は13KRであったが,そのうと5.5KRは太陽紫外によるO_2シューマンルンゲ解離により,0.55KRはO_2^+およびNO^+イオンと常子の解離再結合によりまた,0.03KRはO原子の電子による熱励起により発輝されたものとおもわれる.このほか280kmより高処に別の6300入線の放射源があるようである.一方O(^1D))のO_2(X^3-Σ_0^-)の非活性化の大きさは200km以下の高度ではいちぢるしく大きく,その反応速変係数は2×10^<-10>cm^3/secと推定された.3914Å帯の全輝度は6.5KRであったが,330kmで3.2KRまで減少した.この発輝機構を太陽放射のN_2^+イオンによる螢光散乱として,N_2^+の密度の高度分布を求めた.またN_2^+イオンの電離層内での消失機構について論じた.
著者
本間 正修 渡辺 篤太郎 松尾 弘毅
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.167-190, 1976-02

観測ロケットのピッチ=ロール・レゾナンスの問題に関連して,若干の仮定の下に共振点付近での機体の運動の解析を行った. また共振状態が持続するロール・ロック=イン現象について,それが起こらないための条件を求め,シミュレーション結果との比較を行った.
著者
雛田 元紀
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.225-247, 1972-04

高度70〜80kmにおけるS-160型ロケットのパラシュート回章の信頼性を向上させるため,液体の蒸気圧を利用してピラシュートを強制的に回章させる方式が採用されることになった.これはパラシュートの縁に液体の蒸気圧によって広げられるトーラスを取付け,それによってパラシュートを強制回章させるもので,この方式に関する一連の実験が行なわれた。本文では,これら一連の実験,すなわち,強制回章方式の特性を謁べるための模型パラシュートによる地上での予備試験,二種類のトーラス付き実物パラシュートによる高度29km上空における気球での放出試験.S-160- 3号機での高度68kmにおける本格的放出試験などが述べられている.また強制回章方式によるパラシュート回章のメカニズムや回章時間が理論的に考察され,さらにトーラス形状やトーラス内に用いる液体の選択について検討されている.
著者
石田 龍吉 北村 菊男 塩入 淳平 八田 桂三
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.301-313, 1965-09

軸流機械の翼の振動に対する翼植え込み部の支持剛性および振動減衰能について実験を行なった.試作した実験装置では,実際の運転状態で生ずる大きな遠心力荷重を静的に加えることができる.実験は,(i)クリスマスツリー,(ii)ダヴティルおよび(iii)ピン接手の3形式について行なった.その結果を要約すると1)(i)(ii)の支持剛性は遠心荷重の影響をあまり受けない.一方,(iii)の場合は,遠心荷重にほぼ比例して増加する.後者は,既存の理論[1] [2]の結果とかなりよく一致する.2)振動減衰能は, (i)(ii)では,遠心荷重の増加および振動振幅の減少と共に下がる.(iii)の場合は,かなり複雑である.ただ,振幅と減衰能の関係は,ピン周りの隙間が小さいときは上述の(i)(ii)場合と同じであるが,隙間が大きくなるとこの関係が逆転することは結論できるようである.また,上述の実験結果に対して,植え込み部の接触状態に関する考察を基礎として,若干の定性的説明を試みた.
著者
平尾 邦雄 HIRAO K.
出版者
東京大学宇宙航空研究所
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1_B, pp.39-40, 1978-02

資料番号: SA0125581000
著者
北村 泰一 大道 寓男
出版者
東京大学宇宙航空研究所
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1_B, pp.204-209, 1971-03

資料番号: SA0125405000
著者
山上 隆正 藤井 正美 西村 純 村上 浩之 平島 洋 奥平 清昭 梶原 正男 小玉 正弘
出版者
東京大学宇宙航空研究所
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.p901-920, 1977-09

トンプソン(地磁気緯度66.9゜N)でオーロラX線の気球観測を1975年4月8日UT,9日UTに行った.観測装置としては天頂方向を向いた全視野角70°のNaI(TI)カウンタ,天頂角17.5°に傾いた全視野角35゜のNaI(TI)カウンタ,および天頂方向で10°のtransmission hand幅をもったmodulation colhmator付きNaI(TI)カウンタを用いた X線のエネルギー範囲は15~85KeVである. カウンタをとりつけたゴンドラを3 rpmで回転させ,方位角をGAで測定した.ノマックグラウンドX線の10~10^4倍に達する活発なオーロラX線バーストを多数回観測した.特に4月9日UTの観測ではLTで真夜中頃,特長あるオーロラX線バーストの2 eventsが観測され,それらのeventsの詳しい解析が行われた.0532 UTに観測したeventでは直経20 kmのオーロラX線源が16秒間,2km s^<-1>の速さで北西から南東に移動した.もう一つのeventでは0613 UTから2分間にわたって真南の方向からのオーロラX線を観測した.この場合は,オーロラX線源として円板型とarc型の二通りのモデルを仮定してsimulation計算を行い,観測と比較しオーロラX線源の方向と大きさをきめた.資料番号: SA0124790000
著者
松岡 勝
出版者
東京大学宇宙航空研究所
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.p477-496, 1975-07

1970年から1972年にかけて5回インドで行ったさそり座X線源SCOX-1の硬X線と光の同時観測の総括をし,この結果に関連してSCOX-1で現在問題になっている2,3の点について議論する.SCOX-1は数keVから40keVにわたる熱輻射が観測されており,その原因となる高温プラズマは密度が高く光子の電子による散乱がきいてくる.観測結果の理論的考察によるとX線や光の変動とともにこの高温プラズマの物理量も変動し,特に光又はX線のフレア時ではプラズマの量が多くなることによって光子の電子散乱効果も大きくなり熱輻射のスペクトルに影響をおよぼす.この他SCOX-1は40keV以上のエネルギでかなりフラットなスペクトルのX線があり,これを発生している領域は熱輻射領域の外にあり,熱輻射は電波発生領域に対して重要な役割をはたしていると考えられる.資料番号: SA0124600000
著者
岩間 彬 青柳 鐘一郎 祖父江 照雄 山崎 毅六
出版者
東京大学宇宙航空研究所
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.713-716, 1966-06

固体ロケットモータにおいては,点火器が燃焼室構造の重要な要素となっている.その幾何学的形状とケース材が燃焼室内のガスに与えるじょう乱の大きさによっては,点火器自身が音響振動を増幅するきっかけをつくり,不安定燃焼に成長する原因となり得る.この研究は,SSR1/4モータ(グレイン100mmφ×560mmL)に,管状点火器とかご型点火器の2種を装備して,地上燃焼実験を行ない,モータの燃焼安定性に主眼をおいて,両者を比較したものである.管状点火器は,軟鋼またはアセチルセルローズ製ケースに肌色火薬とMAK-54を充填したもので,フォアヘッド側自由流路にとび出している.ー方かご型点火器は,フォアヘッド鏡板の外側に取付けられ,着火後,未燃固型物がノズルを通過するおそれは仝くないという特長をもっている.前者は,ノズルスロートを未分解のケース材の一部が通過するとき,燃焼ガスにかなり大きいショックを付与し,燃焼圧カー時間曲線に小スパイクを生じ振動燃焼を起こす場合もある.これに対し,後者はこのようなトラブルがなく,モータの燃焼安定性を高めている.資料番号: SA0124890000
著者
柴崎 和夫 鈴木 勝久 小川 利紘 等松 隆夫
出版者
東京大学宇宙航空研究所
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.p83-96, 1979-03

NO_2の大気中全量の測定法を開発し予備的観測を行った.太陽・月を光源とした長光路吸光法を用い, NO_2以外に強い吸収帯の存在しない波長430-450 nm域を選び,スペクトル統計分析によって大気NO_2全量を精度良く求める方法を確立した.1977年3月~10月にわたって東京と茨城県柿岡で予備観測を行った結果,NO_2の鉛直気柱内密度は平均として東京では~10^<17>分子/cm^2,柿岡でも~6×10^<16>分子/cm^2に達しており,また日々の変化,1日の内の変化がかなり大きいことがわかった.これは大気汚染の影響を示すもので,柿岡の値が東京に匹敵することは汚染の広域化を証拠立てている.今後は,自然状態でのNO_2量の測定布目的として,高い山の上,海上等の汚染の及ばない場所での観測を行う予定である.資料番号: SA0125725000