- 著者
-
仲宗根 平男
- 出版者
- 琉球大学
- 雑誌
- 琉球大学農学部学術報告 (ISSN:03704246)
- 巻号頁・発行日
- vol.22, pp.703-708, 1975-12-01
以上の刺針法による植栽地, 低温ビニール室の実験結果から1)沖縄産スギ材は, 3月初旬から早材形成が始まり, 6月末の梅雨明けまで継続される。2)梅雨明けより気温も上昇するため, 7月から晩材形成が始まる。3)8,9月も高気温が続くため, 成木, 幼令木とも晩材形成が継続される。4)10月より気温低下が始まり, 実生幼令木のヤナセ, ヤクは早材形成となるが, 地スギの幼令, 成木, 実生成木は晩材形成が継続される。5)11月から日照時間も短かくなり, 気温も下降するため, これまでの晩材細胞より小径の, 厚膜の細胞が形成され, 12月末まで続き, 休眠期に入る。6)1,2月は休眠期となる。7)細胞数は早晩材共約同数に近いが, その巾は早材部が広く, 晩材が占める面積割合(晩材率)は, 40∿50%となって, 内地産スギ材より高い値を示している。8)晩材形成の主要因は, 30℃前後の高温が続く7,8,9月と, 日照時間が短くなり, 気温も低下する11,12月の異なった二つの要因と考えられる。9)10月の気温は, 4,5月の気温に近いため, 春材形成となると考えられるが, 地スギ幼, 成木, 実生成木は晩材形成を継続する。それらの要因については, 今後の課題としたい。