著者
秋山 幸 金沢 治子
出版者
横浜女子短期大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:0389830X)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.11-25, 1985-04-30

養護施設の献立16日分,精神薄弱児施設の献立18日分,保育所年少児95,年長児98,献立を対象に,食品群別給与量から栄養量を算出し,また給食の調理形態を調査して次のような結果を得た。1)養護施設(平均年令10才)と精神薄弱児施設(平均年令15才)の食品群別給与量を,愛育研究所案の食構成と比較した結果,両施設の穀類給与量は,基準量に比べて少なく,魚介類は,大体基準量を満している。肉類は共に基準量を越えているが,卵類は基準量より少なく乳類は不足している。また野菜の給与量は,両施設共基準量を満しているが,果実類は少ない。保育所年少児の穀類給与量は平均44gで基準より少なく,魚肉,卵類,野菜の給与量は,年少,年長とも基準量を満し,大体よい充足状態を示したが,保育所の魚介肉類,野菜果実の給与量は施設により大きな差が見られる。2)牛乳の給与量は,養護施設149g,精神薄弱児施設133gで,乳製品の給与量も養護施設がやゝ高い。保育所の年少児は,牛乳142g,年長児は45gで,乳製品の給与量は,それぞれ,42gと29gである。そのうち脱脂粉乳は,年少児平均7.9g,年長児7.2gであるが,保育所では,乳量の給与量も施設による巾が大きく,また,乳類は,大部分が間食として与えられている。3)養護施設,精神薄弱児施設の栄養給与量は,各栄養素とも大体所要量を満たしてよい充足状態を示した。保育所では,年少児と年長児の給与量に差が見られ,年少児は,鉄以外の給与量が基準を上廻り,年長児は,カルシウム,鉄,ビタミンB1 B2とも不足している。給与量は,施設によって異り,エネルギーやたん白質は基準量の80%以下の施設が約1/5,20%以上多いものが約1/5見られて,保育所給食における今後の栄養指導が望まれる。4)総給与量に対する乳類の栄養量は,エネルギー,たん白質,脂質とも乳量の多い養護施設は,精神薄弱児施設より多く,保育所の年少児は,年長児より多い。栄養基準量に対する乳類の栄養量は,乳類の栄養量が少い時も,乳以外の食物がこれを補って,栄養量をみたすことがあり,年少児は,年長児より乳以外の食物の栄養の比率が少い。5)養護施設,精神薄弱児施設の主食の形態は,米飯約74%,パン17%,めん約10%で,両施設とも昼食には,パン,めんの複合形態が多い。主菜の魚肉,卵,大豆製品の調理法は,焼物,煮物,揚物,汁物の順に多く,野菜は,生物,和え物として魚肉のつけ合せや汁物に多く使われている。施設の夕食は,朝昼に比べて食品数が多く,家庭的な献立が工夫されていいた。保育所給食における主食の調理形態は,米飯45.1%(単一形態46%,複合形態54%),パン26.1%(単一形態82.8%,複合形態17.2%),めん28.8%(単一形態21.9%,複合形態78.1%)であった。主食として供された主な料理は,スパゲティナポリタン,親子丼,肉うどんであった。副食の調理形態比率は,主菜では汁物40.2%,煮物23.9%,揚物11.7%,焼物7.6%,炒め物4.5%,ゆで物3.4%,和え物2.8%。副菜では,つけ合せ(生野菜,野菜塩もみ,つけの,果物)41.5%,和え物(野菜サラダ類,ごま和え,酢の物)35.5%,ゆで物7.3%,揚物,炒め物共に5.1%,煮物4.1%,汁物1.4%であった。主菜及び副菜の料理数はそれぞれ264,217であった。主材料別頻度比率は,主菜では,肉類34.5%,大豆製品29.3%,水産ねり製品卵類共に11.7%,魚介類7.2%,肉類加工品5.7%。副菜では淡色野菜38.2%,果実21.5%,菓子その他12.2%,緑黄色野菜11.3%,いも類10.3%,穀類4.0%であった。

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