著者
奥村 隆
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.486-503, 2002

「社会」というリアリティが喪失している, という.では, いかなる状況において「社会」はリアルに経験されるのだろうか.そのひとつは, いわば「社会を剥ぎ取られた地点」を経験・想像することを通してであるように思われる.この地点から「社会」を認識・構想することを, これまで多くの論者が行ってきた.われわれは, この地点をどう想像できるだろう.そこから「社会」はどのように認識されるのだろう.<BR>本稿は, ルソー, ゴフマン, アーレントという3人の論者がそれぞれに描いた「社会を剥ぎ取られた地点」と「社会」への認識を辿るノートである.そこでは, 人と人とのあいだに介在する夾雑物を剥ぎ取った「無媒介性」とも呼ぶべきコミュニケーションに対する, 異なる態度が考察の中心となる.このコミュニケーションを希求しそこから「社会」を批判する態度を出発点としながら, 「同じさ」と「違い」を持つ複数の人間たちが「社会」をどう作るかという課題への対照的な構想を, 本稿は描き出すことになるだろう.

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●奥村隆「社会を剥ぎ取られた地点:「無媒介性の夢」をめぐるノート」『社会学評論』52(4)、2002年。https://t.co/y2qqemIEZY ●田畑暁生「透明性をめぐって」『神戸大学発達科学部研究紀要』10(1)、2002年。https://t.co/XK64KbUDc5

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