著者
村井 貞彰
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要 農学 (ISSN:05134676)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, 1954-11

【緒言】 イナゴRice HopperはイネOryzasativa L.その他の作物害虫として東亜諸地域に広く分布しており、その防除などについてもかなり沢山の報告がある。しかしこの害虫の寄生蜂に関する研究は、応用昆虫学的見地からみて一層興味深いものがある。そしてイナゴ卵に寄生する寄生蜂については、ハネナガイナゴOxya velox F ABRICIUS の卵に寄生するScelio oxya GIRAULT (RAMACHANDRA 1921)やChinese grass hopper、Oxya chinensis THUM.の卵に寄生するScelio pembertoni TIMBERLAKE(PEMBERTON 1932)などの報告がみられるが、本邦においては卵寄生蜂の発生は全く知られず、したがってこの寄生蜂に関する研究は全く行われていない。たまたま1953年8月山形県庄内地方において、この卵寄生蜂が発見され、しかも新種であることが判明したので、筆者は主とじてこれが生態について研究を行っている。ここに現在まで調査した結果の一部を取麗めて報告したいと思う。本稿を草するに当り、絶えず御懇篤なる御指導と御鞭撞をいただく、本学阿部嚢博士に深謝の意を表すると共に、寄生蜂の同定及び文献については東京農工大学石井悌博士、北海道大学渡辺千向博士、農林省農業技術研究所加藤静夫技官にその多くを負い、また東北大学加藤陸奥雄博士、農業技術研究所深谷昌次博士並びに同所の各技官からは数多くの御ー教示をいただいたので、ここに深謝の意を表する。なお年平均気象図作製に当つては、 本学気象研究室から資料をおかりしたのでお礼を申し上けたい。

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