著者
村井 貞彰
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 農学 = Bulletin of the Yamagata University. Agricultural science (ISSN:05134676)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.65-72, 1959-02-28

1) 両卵寄生峰の産卵能力は主として温度条件に左右され(関係湿度70%以上において),適温下では能力の増強が認められる.交尾,未交尾の雌の聞には産卵能力に著しい差異は認められない.また,両卵寄生蜂とも平均して1雌,約140個の卵をその体内に臓しているが,実際に寄主卵内に産下されるのは100-110卵位と推察される.2) 両卵寄生蜂とも単寄生と,多寄生をする場合とがあるが,野外においては前者が普通のようである. 後者の場合,それは所謂過寄生で,寄主卵内で首尾よく発育を遂げ脱出してくる成虫は1個体に限られる.多寄生により脱出した成虫は,その体躯小さく,抱卵数もまた少ない.寄主卵内における両卵寄生峰の分布様式は寄生蜂成虫の出現期間内(普通8-9月)の調査では大体中間型分布を示すが,越冬した寄主卵(10月以降産卵された寄主卵を含む)での調査の場合には,寄生率の高低によって集中分布-中間型分布となる.したがって,寄生様式は調査の時期,各地の寄生率などによって変化するものと考えられる.

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