著者
村井 貞彰
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 農学 = Bulletin of the Yamagata University. Agricultural science (ISSN:05134676)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.81-94, 1959-02-28

1)両卵寄生蜂の生活環は胚子の発育同様の寄主卵を供試し,同様の環境条件下で飼育した場合には,殆んど差異を認めない.しかし,野外においては寄生の時期,寄生後の環境条件(特に温度)などによって生活環は変化するようで,大部分の個体は年に1世代しか経過しないが8月中に羽化して直に寄主卵に寄生を完了した個体は年に2世代を経過する.越冬は第1令幼虫でなされる.2)両卵寄生蜂とも,その後胚子発生は極めて類似しており,各ステージの体長,休巾,活動習性などにおいては著しい差異を認めることは出来なかった.ただ,現在のところでは,第1令幼虫及び蛹化後の形態的特徴において,僅かに両卵寄生蜂の区別がつけられる程度のようである.したがって,将来更に詳しい両卵寄生峰の未成熟ステージでの区別点と,両種の血縁関係などについて調査する必要があるものと思われる.一方,両卵寄生蜂の発育速度は,寄生の時期,寄生当時の寄主胚子の発育状態,寄生後の環境条件(特に温度)などによって影響される.

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