- 著者
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田中 祥子
- 出版者
- 富山大学
- 雑誌
- 富山大学紀要. 富大経済論集 (ISSN:02863642)
- 巻号頁・発行日
- vol.37, no.2, pp.307-323, 1991-11
わが国では,1990年初より株価低迷時代に入っている。いわゆるバブルと称されている株価は,東証株価平均とNYダウの希離が大きい,1987年10月のブラック・マンデイ暴落後から1989年末の日本の史上最高株価の頃までの,PER70倍時代の株価を指す。株価の下落は,1990年2月の金利上昇,同年8月のイラクのクウェート侵攻,1991年6月の証券不祥事,8月のソ連の政変などのドキュメントがきっかけを作って回復せずに推移したが,他方では,金融自由化の要請によって導入された派生証券市場における取引が活発化してきた。現物・先物・オプション(今後先物あるいはオプションを株価指数についてものとして用いる)の三者の取引および価格形成はわが国の場合,どのように係わっているのであろうか,この点について特に取引量の多い日経平均,同先物,同オプションを中心に観察してみることにする。