著者
中川 洋吉 清家 彰敏
出版者
富山大学
雑誌
富山大学紀要. 富大経済論集 (ISSN:02863642)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.319-344, 2000-11

20世紀は映像の世紀といわれた。また映像は政府によってマスコミュニケーションの道具として管理創造されてきた。さて,21世紀はこの映像がインターネットの場において個人,大衆に開放される世紀と考えられる。この開放される映像が創りあげる映像ビジネスは巨大な産業を形成する可能性がある。本研究は,この21世紀に創造される映像ビジネスの中核となる人材とその教育システムを問題とする。特に先進的モデルとしてフランスの映像教育をとりあげ,分析を行う。フランスには,映画学校として,我が国でも良く知られたイデック(IDHEC)があり,世界各国の映画学校の中でも,多くの著名監督を輩出したことで,その知名度は高い。第1期の卒業生に,アラン・レネ,他に,クロード・ソテ(4期),ロベール・アンリコ(7期)がおり,そして,ルイ・マルもイデック出身である。イデック同様にフランスには,国立の演劇,音楽,美術の高等専門学校が存在する。音楽,演劇はコンセルヴァトワール,美術はボ・ザールであり,映画は,映像一般専修校としてフェミス,撮影専門学校としてルイ・ルミエールがある。我が国で,国立の美術,音楽専門校として東京芸大がある。しかし,国立の映画学校は存在しない。更に,国立大学の中で,映画学部を有しているところは皆無である。フランスのフェミスは,1986年に創設された。フェミス「FEMIS」は,"Formation et Enseignement aux Metiers de I'Image et le Son "の略である。正式名称は,「視聴覚教育と人材育成」の意である。このフェミスに,1995, 99, 2000年と三回に渉り訪れ,聞き取り調査を行なった。その調査結果をベースに,フランスの映画学校(本質的には映画・映像学校)と,映像人材育成のモデルについて,考察する。
著者
田中 祥子
出版者
富山大学
雑誌
富山大学紀要. 富大経済論集 (ISSN:02863642)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.307-323, 1991-11

わが国では,1990年初より株価低迷時代に入っている。いわゆるバブルと称されている株価は,東証株価平均とNYダウの希離が大きい,1987年10月のブラック・マンデイ暴落後から1989年末の日本の史上最高株価の頃までの,PER70倍時代の株価を指す。株価の下落は,1990年2月の金利上昇,同年8月のイラクのクウェート侵攻,1991年6月の証券不祥事,8月のソ連の政変などのドキュメントがきっかけを作って回復せずに推移したが,他方では,金融自由化の要請によって導入された派生証券市場における取引が活発化してきた。現物・先物・オプション(今後先物あるいはオプションを株価指数についてものとして用いる)の三者の取引および価格形成はわが国の場合,どのように係わっているのであろうか,この点について特に取引量の多い日経平均,同先物,同オプションを中心に観察してみることにする。
著者
寺西 千代子
出版者
富山大学
雑誌
富山大学紀要. 富大経済論集 (ISSN:02863642)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.1-16, 1983-07

現段階での理論の多くは,オフィス・オートメーションのオフィスに重点を置くものが多く,オフィスの中核となる情報システムの中でOAをどのように位置づけるかを論じており,オフィスにおいてはいろいろな点でオートメーションという用語は適当ではないと批判されるが,この論稿ではオートメーションの進化の中でオフィス・オートメーションをどのように捉えることができるかを明らかにし,そのような観点からOAの姿を示していきたい。
著者
下崎 千代子
出版者
富山大学
雑誌
富山大学紀要. 富大経済論集 (ISSN:02863642)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1-38, 1986-07

人間行動の解明を目的とする心理学では,行動主義的アプローチ,すなわち人間行動を環境刺激の関数として観察不可能な中枢機構での刺激処理過程を捨象するアプローチが主要な視点のひとつである。それに対して,経営学の動機づけ論ではマズローを出発点とした人間行動の源泉の分析によって人間行動を説明しようとする欲求系の動機づけ論や,ブルームを出発点とした人間行動の選択過程を分析することによって人間行動を説明しようとする認知系の動機づけ論が展開されてきたが,経営学でこの行動主義的アプローチの有用性に注目し始めたのは比較的最近のことである。そこで,心理学で用いられているアプローチと経営学の動機づけ論で展開されてきたアプローチの類似点及び相違点を明らかにすることで,以上の点をより明確に示してみよう。
著者
松嶋 道夫
出版者
富山大学
雑誌
富山大学紀要. 富大経済論集 (ISSN:02863642)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.12-55, 1985-07
著者
戸川 成弘
出版者
富山大学経済学部
雑誌
富山大学紀要. 富大経済論集 (ISSN:02863642)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.81-103, 1994-07

株式会社の定款に株式の譲渡につき取締役会の承認を要する旨の定めがある場合(商204条1項但書)に,取締役会の承認を得ないでなされた株式の譲渡は,会社に対する関係では効力が生じない,と解されており,後述する一部の学説1)を除いては,この点について異論を唱える学説はない。それでは,この場合に当該株式の譲渡人(株主名簿上の株主。以下同じ)はいかなる法的地位を有することになるのであろうか。すなわち,当該譲渡人は会社に対して株主としての地位を主張しうるのであろうか。取締役会の承認のない譲渡制限株式の譲渡をめぐる従来の学説の議論は,譲渡の当事者聞において譲渡の効力が生ずるか否かについての議論が中心であった。それに対し,この譲渡人の法的地位の問題は,この問題について最高裁判所が初めて判断を示した最高裁昭和63年3月15日判決2)以後論点として意識され,議論が行われるようになったものであり,比較的新しい問題であるといえる。本稿は,この問題について前稿後の議論を踏まえて再検討を加え,前稿の結論の論拠を補強するとともに,その作業の過程で,前稿では必ずしも明確にしていなかった筆者の考える相対説の見解を示すことにする。