著者
徳永 幹雄
出版者
九州大学健康科学センター
雑誌
健康科学 (ISSN:03877175)
巻号頁・発行日
no.20, pp.21-30, 1998
被引用文献数
3

スポーツ選手が試合で実力を発揮するためには試合前1カ月位からの心理的コンディショニングが重要である。そこで,本研究ではスポーツ選手の心理的コンディショニングの指導に役立つ検査法として試合前の心理状態を診断する方法を開発することを目的とした。スポーツクラブ所属者246名を対象に調査を実施し,診断法を開発すると共に,作成された診断法をいくつかのクラブに適用し,その有効性を検討した。おもな結果は,次のとおりである。1.試合前の心理状態を診断する方法として20項目からなる質問用紙を作成して調査を実施し,統計的手法を用いて分析した結果,質問項目の妥当性,テストとしての信頼性が証明され,質問項目は5因子,9尺度に分類することができた。2.作成された「調査票」を用いて,試合前の心理状態を比較した結果,国体強化選手という明確な目標を持っている集団は高得点を示した。また,継続的に調査を実施することによりチーム全体,レギュラー選手,個人の心理状態の変化を分析することができ,試合前の心理的コンディショニングの指導に役立つことが示唆された。3.これらの結果を踏まえ,診断検査用紙としての形式を整え,「試合前の心理状態診断検査(Diagnostic Inventry of Psychological State Before Competition,略してDIPS-B.1)」 を作成した。

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