著者
柴村 恵子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要. 家政・自然編 (ISSN:09153098)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.85-95, 1991-03-05

北部タイには現在メオ族,ヤオ族など10数種類の山地民族がいるが,その多くは山岳地帯に住んでいる.近年その彼らの生活にも近代化の波が押寄せ,それぞれ固有の生活文化に変容が見られるようになってきた.そして,その波を積極的に受け入れようとする一方において,今なお先祖伝来の文化を固持している部分も見られる.それは衣装をはじめ風俗,習慣,宗教儀礼にいたる伝統文化に残されている.筆者は1980年以来その残されている生活習俗を記録に残すため現地調査を続け,それぞれの民族の衣装を中心に名古屋女子大学の紀要27号(アカ族),28号(メオ族),32号(ヤオ族),33号(リス族),34号(ラフ族),35号(カレン族),に報告してきた.これらの民族は,それぞれ近隣の国からおよそ100年以上かけて移住してきたものが多く,その源郷は中国,チベットなどと伝えられている.カノミタカコ氏によると,ラワ族はタイの原住民であると自称している4)と言われているが,若林弘子氏によれば中国雲南省の西南部からミャンマーにかけての国境山岳地帯に居住する伍族の分派と言われている説もあるとして一様ではない.また,その一部はすでに平地に下ってタイ入と変わらない生活を送っているグループもあることも報告されている.今回はまだその山岳地帯に住み,伝統的な生活習俗を保持しているラワ族について報告する.

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