著者
竹内 一夫
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.59-66, 1991-10-11

平成元年に「医療ソーシャルワーカー業務指針」が, 医療ソーシャルワーカー業務指針検討会により提出されたが, 我が国では未だ, 医療ソーシャルワーカーの法資格はできていない.本稿では, これまで厚生省や関連団体から出された公的文書の中で, 精神衛生法正前の1947年から1964年までを対象とし, 医療ソーシャルワーカーの役割, 定義, 業務, 教育体系などがどのように変化して来たのかを, 経時的に検討した.1965年以降のものは続報で検討する.今回の検討では以下のことが確認できた.1)保健所法制定後10年で, 医療ソーシャルワークは「医療チームの一部門」として位置づけを得, その扱う対象も「患者」から「患者及び家族, 地域社会」へと拡大している.2)同時期, 医療ソーシャルワークの専門技法は, 初期のケースワークから, それに加えグループワーク, ソーシャルワークリサーチ, コミニティーオガニゼーションの一部, ソーシャルワークアドミニストレーションの一部へと拡大している.3)専門的教育に関しては, 保健所法制定後15年で, すでにスーパーバイザー養成を含んだ大学レベルでの教育が提案されていた.

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