- 著者
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奥山 清子
花谷 香津世
板野 美佐子
- 出版者
- 川崎医療福祉大学
- 雑誌
- 川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
- 巻号頁・発行日
- vol.4, no.2, pp.75-80, 1994
障害児が健常児と同じ精神年齢である場合, 健常児の発達の型にみられるような同じ遊びのパターンを示すかどうかを明らかにするため, 障害児の精神年齢とほぼ同じ生活年齢の健常児を対象として対人行動を観察し比較検討した.遊びの中で見られる対人行動の現れ方, スタイルは障害児と健常児とでは異なっていた.健常児の場合, 自由な遊び場面においては, 1歳児から2歳児の間に, 孤立的行動や傍観的行動は減少し, 代わりに平行的行動や集団的行動の増加が見られることが明らかとなった.障害児の場合, 孤立的行動が多いのがその特徴であるが, 集団生活の経験が増すにつれ孤立的行動は減少し, 傍観的行動や平行的行動は増加した.集団的行動の内容を検討して見ると障害児も, 健常児も同じ比率で, 自らかかわる行動が増加していた.保育園の自由な遊び場面において, 遊びへの自発的かかわりという内的な転換が認められた.障害児の社会的学習効果の視点からも, 保育園での統合保育の果たす役割は重要な意味を持つと考えられる.