著者
金光 義弘
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.249-256, 1997

本論文の目的は, 一人の聾唖聴覚障害者が司法の場で裁かれることの妥当性について心理学的な考察を試みることである.主たる問題の所在は次の4点である.(1)訴訟能力を持たない被告人に対する司法的処置の妥当性, (2)17年間という異常に長い裁判の違法性, (3)障害者に対する社会的i援助や教育の欠如性, 最後に(4)心理学者が作成した被告人鑑定書の妥当性と信頼性である.これらに関する心理学的考察を通して以下の2点が結論づけられる.すなわち, (1)日本の司法制度は障害者に対する手厚い援助の手を差し伸べてこなかった.したがって, 障害者に対する現行の司法的手続きは人権保障の観点から問い直されなければならない.(2)心理学は障害者の人権問題に対して, ノーマライゼーションや社会的援助の方向から一層の貢献が期待されている.

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