- 著者
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金光 義弘
- 出版者
- 川崎医療福祉大学
- 雑誌
- 川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
- 巻号頁・発行日
- vol.7, no.1, pp.11-18, 1997
本論文では実験已・理学者のM.EP.Seligmanによって提唱された学習性無力感(LearnedHelplessness)理論に関する再考察をし, 今後の適用性についての展望を試みる.主なトピックは4点で, 以下の通りである.(1)学習性無力感理論の実験 : 的検証.(2)学習性無力感理論の理論的背景の再検討.(3)学習性無力感理論の意義についての考察.(4)学習性無力感理論の適用可能性の吟味.本論ではLearnedHelplessnessの概念および理論の重要性を認識したうえで, 学習性無力感現象が生起するための三つの必要条件を指摘する.その第1条件は, 生活体が回避不可能な嫌悪刺激を与えられて, 無力感(helplessness)を知覚する状況であること.第2の条件は, 生活体が行動と結果の間の非随伴性(noncontingency)の認知を獲得する過程があること.第3の条件は, 統制不能性(uncontrollability)の期待によって動機づけレベルが低下すること, である.最後に, 学習性無力感の原形(オリジナル学習性無力感)理論こそ, 人間の精神的および行動的異常の問題に対する適用において, 妥当性と有効性が認められることを主張する.