著者
横須賀 柳子
出版者
国際基督教大学
雑誌
ICU日本語教育研究センター紀要 (ISSN:13447181)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.61-76, 2000-03-31

従来の「です・ます体」の研究により「フォーマリテイー」や「ていねいさ」の度合いという観点から教室談話をみると,教師の使うべきスピーチ・スタイルは「です・ます体」が規範だということになる。しかし,近年の談話研究から自然な発話では単一のスピーチ・スタイルが固定的に使われるのではなく,複数のスタイル(「です・ます体」,「だ体」など)が混在し,各スタイル間で頻繁に交替が起こることが明らかになってきている。本稿では,授業場面での教師による「です・ます体」と「だ体」間のスタイルの交替が,発話がもつ命題以外にどのような指標的機能をもっているかという観点から分析,考察を試みた。その結果,教師のスピーチ・スタイルの交替は,状況の公式性,対人関係(自分の立場や相手の言語能力についての認識)を規定していることが明らかになった。

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