著者
横須賀 柳子
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.175, pp.50-64, 2020-04-25 (Released:2022-04-26)
参考文献数
21

日本社会では少子高齢化により労働者人口が減少する中,若年者の職業的・社会的自立を促すインターンシップへの参加者数が著しく拡大してきている。大学在籍中の就職活動前に行う企業でのビジネス実践は,日本人学生のみならず,グローバル人材としての活躍が期待される外国人留学生のキャリア形成に大きな影響を与えるはずだ。質的転換を志向する大学教育にとっても,インターンシップはアクティブ・ラーニングの重要な一方法となる。 本稿では,「キャリア」を生涯発達の視座から捉え,まず,政府・民間企業などによる調査結果を基にインターンシップ全般について概説する。また,留学生の事例を取り上げて,ビジネスの現場と多様な他者との関わりの中でことばや文化を学び,将来の自分の生き方を探求する実態を明らかにする。
著者
横須賀 柳子
出版者
国際基督教大学
雑誌
ICU日本語教育研究センター紀要 (ISSN:13447181)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.61-76, 2000-03-31

従来の「です・ます体」の研究により「フォーマリテイー」や「ていねいさ」の度合いという観点から教室談話をみると,教師の使うべきスピーチ・スタイルは「です・ます体」が規範だということになる。しかし,近年の談話研究から自然な発話では単一のスピーチ・スタイルが固定的に使われるのではなく,複数のスタイル(「です・ます体」,「だ体」など)が混在し,各スタイル間で頻繁に交替が起こることが明らかになってきている。本稿では,授業場面での教師による「です・ます体」と「だ体」間のスタイルの交替が,発話がもつ命題以外にどのような指標的機能をもっているかという観点から分析,考察を試みた。その結果,教師のスピーチ・スタイルの交替は,状況の公式性,対人関係(自分の立場や相手の言語能力についての認識)を規定していることが明らかになった。