- 著者
-
吉岡 一男
- 出版者
- 放送大学
- 雑誌
- 放送大学研究年報 = Journal of the University of the Air (ISSN:09114505)
- 巻号頁・発行日
- no.16, pp.211-228, 1999-03-31
おうし座RV型星は,主極小と副極小を交互にくり返す光度変化に特徴がある半規則的な脈動変光星である.この変光星は,光度変化をもとに,RVa型とRVb型に細分類されており,RVb型は脈動周期の光度変化に重なって長周期の光度変化が見られるのに対して,RVa型ではそのような長周期変化は見られない. われわれは,国立天文台堂平観測所の91cm反射望遠鏡の多色偏光測光装置を用いて,この星の多色偏光測光観測を行っている. その結果,現在までに観測された17個のおうし座RV型星の中で,ふたご座SU星,いっかくじゅう座U星,おうし座RV星の3個の星で,偏光が長周期の時間変動をしていることを検出した.これら3個の星はすべてRVb型である.そして,観測された偏光の長周期時間変動は周期的で,その周期は長周期光度変化の周期と大体一致しているようである.この長周期の時間変動はおうし座RV星のほうが,いっかくじゅう座U星よりも顕著である.一方,観測誤差が大きいので,ふたご座SU星に対しては,長周期時間変動の大きさについては,明確な結論は下せない.さらに,偏光の長周期時間変動の特徴から判断すると,RVb現象の説明の1つとして提案されてる星周圏ダスト殻を伴う伴星による単純な掩蔽によっては,この時間変動が引き起こされてはいないようである.